横浜で一人暮らしをしていた親が自宅で亡くなり、発見までに日数がたってしまった。家を引き継ぐことになったものの、部屋に入るのもつらく、この家が売れるのか、事故物件として扱われるのか、何から手を付ければよいのかもわからない。そうした状況で、この記事にたどり着いた方も多いと思います。
結論から言うと、孤独死があった家でも売却はできます。特殊清掃の前や遺品が残ったままでも、事故物件に対応する買取業者なら現状のまま査定を受けられます。
この記事では、孤独死が事故物件として扱われる基準と買主への告知義務、価格への影響、清掃や解体をするかの判断、3つの売却方法、近所に知られずに売る方法を説明します。相続の手続きから引き渡しまでの流れや、税金の特例、買取業者の選び方もまとめているので、上から順に読めば次に何をすればよいかがわかります。
横浜で孤独死した家は売却できる?
孤独死があった家も、ほかの家と同じように売却できます。法律で売買が制限されることはなく、相続した人が所有者として売りに出せます。
ただし、発見までの期間や室内の状態によっては、買主に事情を伝える必要が出てきます。その場合は買い手の層が限られるため、どの売り方を選ぶかで価格や期間が変わります。
孤独死した家でも仲介・買取どちらでも売却できる
孤独死した家の売り方は、不動産会社に買い手を探してもらう仲介と、不動産会社に直接買い取ってもらう買取のどちらも選べます。
亡くなってすぐに見つかり、室内に汚れや臭いが残っていない場合は、事故物件として扱われないことが多く、通常の家と同じ条件で仲介に出せます。立地や建物の状態がよければ、相場に近い価格で売れる可能性もあります。
一方で、発見が遅れて特殊清掃が必要になった家は、買主に孤独死があったことを伝えて売ることになります。そうした事情を気にしない買い手を一般の市場で探すのは時間がかかりやすいため、事故物件の取引に慣れた買取業者に売る方法が現実的な選択肢になります。
買取業者は、清掃や修繕、再販までを自社で計画したうえで買い取ります。遺族が室内に入って片付けをしなくても話を進められるので、精神的な負担が大きい方や、遠方に住んでいる方に合った売り方です。
発見までの期間や室内の状態で売却条件が変わることがある
同じ孤独死でも、売却の条件を大きく分けるのは「発見までにどれくらいかかったか」と「室内にどんな影響が残ったか」です。
亡くなった当日や翌日に家族や訪問者が気づいた場合は、通常の清掃で済むことが多く、原則として買主への告知も必要ありません。売却の条件は、孤独死がなかった家とほとんど変わりません。
発見までに時間がかかると、体液が床材や下地にしみ込んだり、臭いが壁や天井に残ったりします。そうなると特殊清掃や床の張り替えなどが必要になり、買主への告知が必要な家として扱われます。夏場は傷みが早く進むため、同じ日数でも冬より影響が大きくなりがちです。
| 状況 | 告知 | 主な売り方 | 売却条件への影響 |
|---|---|---|---|
| すぐに発見され、通常の清掃で済んだ | 原則不要 | 仲介・買取どちらも | ほとんどない |
| 発見が遅れ、特殊清掃や床・壁の交換が必要 | 必要 | 買取が中心、仲介も可 | 価格が下がり、期間が延びやすい |
| 臭いや汚れが室内に残ったまま | 必要 | 現状のまま買取 | 清掃費用分が差し引かれる |
何日たてば告知が必要になるという日数の線引きはありません。判断の材料になるのは日数そのものより、特殊清掃や大規模なリフォームが必要になったかどうかです。
孤独死した家は事故物件になる?売却時の告知義務
孤独死があったというだけで、その家が事故物件になるわけではありません。国土交通省の宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインでは、自然死や病死は原則として告知が不要とされ、告知が必要になるのは特殊清掃などが行われた場合です。
このガイドラインは不動産会社が買主に何を伝えるべきかを示したもので、売主が不動産会社に伝える内容もこの基準に沿って考えると整理しやすくなります。
自然死や病死なら原則として告知は不要
老衰や持病による病死などの自然死は、売買でも賃貸でも、原則として買主に告げなくてよいとされています。住宅で人が亡くなるのはごく自然なことで、買主の判断に重要な影響を与える可能性は低いと考えられているためです。
自宅の階段からの転落、入浴中の溺死、食べ物をのどに詰まらせた誤嚥など、日常生活の中での不慮の事故による死も、自然死と同じ扱いです。
一人暮らしの親が自宅で病気のために亡くなり、すぐに見つかった場合は、この「原則として告知不要」に当てはまります。死因がはっきりしないときは、死亡届に添付した死亡診断書や死体検案書の写しで死因を確かめておくと、不動産会社に事情を伝えるときに迷いません。
ただし、告知が不要なケースでも、買主から「この家で亡くなった人はいますか」と聞かれた場合は、事実を答える必要があります。ガイドラインでも、問われた場合は経過期間や死因に関係なく告げるとされています。
特殊清掃が必要になった場合は告知が必要になる
自然死であっても、長い間だれにも気づかれず、特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、買主に告げる対象になります。孤独死で告知が必要になるのは、多くがこのケースです。
特殊清掃とは、遺体の発見が遅れたことで生じた体液の汚れや臭い、害虫などを、専用の薬剤や機材で取り除く清掃のことです。床材をはがして下地まで交換したり、壁紙や天井材を張り替えたりする工事を伴うことも少なくありません。
告知するときに伝える内容は、ガイドラインで次のように整理されています。
- 事案の発生時期(特殊清掃をした場合は発覚した時期)
- 亡くなった場所
- 死因(わからない場合はその旨)
- 特殊清掃などを行ったこと
亡くなった方の氏名や年齢、家族構成、亡くなったときの具体的な様子や発見の状況までは伝える必要はありません。遺族のプライバシーに配慮した線引きがされているので、必要以上に詳しく説明しなくて大丈夫です。
清掃業者から受け取った作業報告書や、リフォームの見積書・請求書は、どこまで手を入れたかを買主に示す資料になります。売却が決まるまで捨てずに保管しておきましょう。
売買では「何年経てば告知不要」という期間の目安はない
「3年たてば告知しなくてよい」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは賃貸の場合の目安で、売買には当てはまりません。
ガイドラインでは、賃貸について、特殊清掃などが行われた死の発覚からおおむね3年が過ぎれば、原則として借主に告げなくてよいとしています。一方、売買については期間の目安を示していません。賃貸の3年は売買に流用できる基準ではないということです。
そのため、孤独死から数年がたってから売る場合でも、特殊清掃を行った家であれば告知を前提に進めるのが安全です。建物を解体して更地にした場合も、その土地で人が亡くなった事実は残るため、買主に伝えておくほうがトラブルを防げます。
孤独死を隠して売却するとどうなる?
告知が必要な孤独死を隠して売ると、売却後に発覚した時点で、買主から契約不適合責任を問われるおそれがあります。
契約不適合責任とは、引き渡した家が契約の内容に合っていなかった場合に、売主が負う責任のことです。民法では、買主は修補などの追完、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められると定められています。孤独死の事実が後から近所の人の話で伝わり、買主が「知っていれば買わなかった」と主張すれば、売買代金の減額や契約の解除に発展することもあります。
「契約不適合責任を負わない」という特約を結んでいても安心はできません。民法第572条では、売主が知りながら告げなかった事実については、特約があっても責任を免れないとされています。
隠すことで得られる価格の差より、発覚したときの損失のほうがはるかに大きくなります。孤独死があったことは不動産会社に正直に伝え、告知が必要かどうかの判断も一緒に進めてもらいましょう。事故物件の取引に慣れた会社であれば、告知書の書き方まで具体的に案内してくれます。
横浜で孤独死した家の売却価格はどれくらい下がる?
孤独死があった家の価格がどれだけ下がるかに、決まった割合はありません。すぐに発見されて告知が不要な家ならほとんど下がらず、特殊清掃が必要だった家は告知と修繕の分だけ下がる、というのが基本の考え方です。
実際の査定額は、孤独死の事情に加えて、横浜のどの場所にあるか、建物がどれくらい使えるかで大きく変わります。
孤独死による値下がり率に一律の基準はない
「事故物件は相場の何割引き」といった数字を見かけることがありますが、公的な基準や統計に裏付けられた割合はありません。買い手が孤独死をどの程度気にするかは人によって違い、同じ家でも買い手によって評価が変わるためです。
査定では、孤独死の影響を割合で一律に差し引くのではなく、次のような要素を積み上げて価格を出します。
- 告知が必要かどうか(買い手の層が狭まる分)
- 特殊清掃やリフォームにかかる費用
- 残っている家財の処分費用
- 売れるまでにかかる期間の見込み
つまり、値下がりの中身は「心理的な抵抗感」と「実際にかかる費用」に分けて考えられます。費用の部分は、清掃や修繕の見積もりを取れば金額がはっきりします。不動産会社に査定を依頼するときは、現状のままの価格と、清掃や修繕をした後の見込み価格の両方を聞くと、どこにいくら差し引かれているのかが見えてきます。
発見までの期間や室内の状態が価格に影響する
価格への影響が大きいのは、発見までの期間が長く、汚れや臭いが建物の内部まで及んでいるケースです。
体液が床下の合板や根太まで達している場合は、床の表面を張り替えるだけでは臭いが消えず、下地からの交換が必要になります。その工事費は、買取価格から差し引かれるか、仲介で売るなら売主が先に負担することになります。
反対に、汚れが一部屋にとどまり、特殊清掃で臭いまで取り除けた家であれば、告知は必要でも修繕費は抑えられます。告知が必要な家の中でも、室内の状態によって査定額には大きな幅が出ます。
横浜の立地・築年数・建物の状態も査定価格を左右する
孤独死の影響よりも、立地や建物そのものの条件のほうが価格を大きく左右することも少なくありません。
駅から近い、平坦な住宅地にある、道路にしっかり面しているといった条件がそろった家は、告知事項があっても買い手が見つかりやすく、値下がりは小さくなります。横浜駅やみなとみらいに通いやすいエリアは住宅の需要が高く、事情を理解したうえで購入を検討する人もいます。
一方で、築年数がかなり古い木造住宅は、孤独死がなくても建物の価値がほとんど残っていないことが多く、査定は土地の価格が中心になります。この場合、孤独死の影響は建物の解体費用や処分費用の差に表れる程度で、土地の価格そのものへの影響は限られます。
孤独死が起きたマンションの一室は、建物全体ではなくその部屋だけの問題として扱われます。隣の住戸や、ふだん使わない共用部分で起きた死は、ガイドライン上も原則として告知不要です。
斜面地や擁壁のある横浜の戸建ては買取業者向きの場合も
横浜市は丘陵地が多く、坂の上や崖の近く、擁壁の上に建つ戸建てが市内の各地にあります。こうした家で孤独死があった場合は、仲介より買取業者に相談したほうが話が早く進むことがあります。
横浜市建築基準条例第3条では、高さ3メートルを超える崖の近くに建物を建てるときに、擁壁の設置などの安全対策を求めています。古い擁壁の家は建て替えに大きな費用がかかることがあり、一般の買い手にとっては、孤独死の告知と再建築の不安が重なって購入をためらう理由が二つになってしまいます。
斜面地の取引に慣れた買取業者は、擁壁の調査や建て替えの計画を自社で組み立てたうえで価格を出せます。階段でしか上がれない家や、車が入れない家でも、残置物の搬出や解体の段取りを含めて買い取ってくれるところがあります。
仲介で売るか迷う場合は、擁壁の検査済証や建築確認の記録が残っているかを先に確かめておくと、査定の段階で判断材料が増えます。
孤独死した家は特殊清掃や遺品整理をせずに売却できる?
特殊清掃や遺品整理をしないまま売却することもできます。事故物件に対応する買取業者の多くは、室内が亡くなった当時のままでも現状で買い取り、清掃や家財の処分を引き受けています。
清掃をしてから売るか、そのまま売るかは、かかる費用と売却価格の差を比べて決めるのが基本です。
特殊清掃前や遺品が残ったままでも現状買取できる場合がある
買取業者に依頼する場合、遺族が自分で片付けをしてから引き渡す必要はありません。家具や家電、衣類などの家財が残ったままでも、業者が処分費用を見込んだうえで買取価格を提示します。
特殊清掃がまだの段階でも、査定は受けられます。業者が室内の状態を確認し、清掃と修繕にかかる費用を差し引いた価格を出すため、遺族が先に清掃費用を立て替える必要がなくなります。
気をつけたいのは、相続放棄を考えている場合です。遺品を処分したり売ったりすると、相続を受け入れた(単純承認した)とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。借金が残っている可能性があるなど、相続するかどうかを決めていない段階では、貴重品や書類を探す程度にとどめ、家財の処分や売却の契約は相続の方針を決めてから進めましょう。
遺品の中に残しておきたいものがある場合は、査定のときに業者へ伝えておけば、搬出の前に取り分けてもらえます。通帳や権利証、写真など、探してほしい物のリストを渡しておくと安心です。
臭いや汚れが残っている場合はどうする?
臭いや汚れが残っている家を仲介で売り出すと、内覧の段階で買い手が離れてしまいます。仲介で売るなら、少なくとも特殊清掃で臭いの原因を取り除いてから売り出すのが前提です。
特殊清掃は、汚れを拭き取るだけでなく、体液がしみ込んだ床材や畳の撤去、消臭剤の噴霧、オゾンによる脱臭などを組み合わせて行います。臭いが下地や壁の内側まで残っていると、表面をきれいにしても時間がたってから臭いが戻ることがあります。業者を選ぶときは、作業後に臭いが残った場合の対応まで確認しておきましょう。
近隣への影響も考えておく必要があります。臭いや害虫が隣の家に及んでいる場合は、売却の方針を決める前でも、臭いの拡散を止める応急的な清掃を先に行うほうが、近所とのトラブルを防げます。応急処置にとどめておけば、本格的な清掃や修繕を行うかどうかは、売り方を決めてから判断できます。
買取業者に売るなら、臭いや汚れが残った状態のままで構いません。遺族が立ち会いをしたくない場合も、鍵を預けて業者に室内を確認してもらう形で進められます。
清掃・リフォーム・解体は費用と手取り額を比較して判断する
清掃やリフォームをしてから売るべきかは、かけた費用以上に売却価格が上がるかどうかで決まります。
| 売り方 | 先にかかる費用 | 向いている家 |
|---|---|---|
| 現状のまま買取 | なし(買取価格から差し引き) | 汚れや臭いが強い、遠方で管理できない、早く手放したい |
| 特殊清掃だけして仲介 | 特殊清掃費 | 立地がよく、清掃で臭いが取れる見込みがある |
| 清掃とリフォームをして仲介 | 特殊清掃費+リフォーム費 | 建物が新しく、住宅として十分使える |
| 解体して土地として売る | 解体費+家財の処分費 | 建物が古く、土地の需要が高いエリア |
リフォームは、費用をかけても告知が必要なことに変わりはありません。買い手の多くは自分好みに手を入れることを前提に中古住宅を探しているため、売主が大がかりなリフォームをしても、その費用を価格に上乗せできるとは限りません。
判断に迷う場合は、清掃業者やリフォーム会社の見積もりと、不動産会社の「現状のまま」「整えた後」の2通りの査定額を並べて、手元に残る金額を比べてみてください。差が小さければ、手間と時間がかからない現状のままの売却を選ぶほうが負担は軽くなります。
孤独死した家を横浜で売却する3つの方法
孤独死した家の売り方には、仲介で一般の買主に売る、事故物件に対応する買取業者に直接売る、建物を解体して土地として売る、の3つがあります。高く売れる可能性があるのは仲介、早く確実に手放せるのは買取、建物が古く土地の需要が高いエリアで選択肢になるのが解体です。
| 比較項目 | 仲介 | 買取業者に直接売却 | 解体して土地で売却 |
|---|---|---|---|
| 売却価格 | 相場に近い価格を狙える | 仲介より低くなりやすい | 土地の相場から解体費を引いた額 |
| 売却までの期間 | 買い手が見つかるまで読めない | 短い | 解体の期間が加わる |
| 清掃・片付け | 売り出し前に必要 | 不要 | 解体前に家財の処分が必要 |
| 告知 | 必要な場合は買主に告げる | 業者に伝える | 必要な場合は買主に告げる |
| 仲介手数料 | 必要 | 不要 | 仲介で売るなら必要 |
| 近所に知られる可能性 | 内覧や販売活動で知られやすい | 低い | 解体工事で目立つ |
不動産仲介で一般の買主に売却する
仲介は、不動産会社に買い手を探してもらい、一般の個人に売る方法です。買い手が自分で住むために買うため、条件がよければ買取より高い価格がつきます。
仲介が向いているのは、すぐに発見されて告知が不要な家や、特殊清掃で臭いが取れたうえで、駅に近いなど立地の条件がよい家です。告知が必要でも、事情を理解したうえで価格の安さを評価する買い手が見つかれば、仲介でも売れます。
仲介では、売買が成立したときに仲介手数料がかかります。売買価格が400万円を超える場合の上限は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額で、2,000万円で売れたなら上限は72万6,000円です。800万円以下の空き家などは、調査費用などを含めて33万円(税込)まで受け取れる特例もあります。
注意したいのは、売れるまでの期間が読みにくいことです。内覧のたびに室内を整えたり、問い合わせのたびに事情を説明したりする負担もあります。売り出してから何か月も反応がなく、値下げを重ねた結果、買取と変わらない価格になることもあるため、売り出し価格と期限をあらかじめ決めておくと判断しやすくなります。
事故物件に対応する不動産買取業者へ直接売却する
買取は、不動産会社が自ら買主となって家を買い取る方法です。事故物件に対応する買取業者は、清掃・修繕・再販までを自社で計画できるため、一般の買い手が敬遠する家でも価格を提示できます。
孤独死した家で買取が選ばれる理由は、遺族の負担が小さいことにあります。
- 特殊清掃や遺品整理の前でも、現状のまま売れる
- 内覧や広告がないので、近所に知られにくい
- 業者が直接買うため、仲介手数料がかからない
- 価格に合意すれば、引き渡しの時期を決めやすい
個人が売主で、不動産会社が買主になる取引では、契約不適合責任を負わない特約を結ぶのが一般的です。売却後に建物の不具合が見つかっても、修補や損害賠償を求められない契約にしやすく、遠方に住む相続人にとっては大きな安心材料になります。ただし、前の章で触れたとおり、知りながら伝えなかった事実は特約があっても責任を免れません。孤独死の事情は、査定の段階で業者に正確に伝えておきましょう。
買取価格は、業者が負担する清掃費・修繕費・再販までの期間を差し引いて決まるため、仲介で売れた場合より低くなります。業者によって清掃や修繕の体制、得意なエリアが違い、提示額に差が出やすいので、2〜3社の査定を比べると妥当な価格がわかります。
建物を解体して土地として売却する
建物を解体して更地にし、土地として売る方法もあります。孤独死があった建物そのものがなくなるため、建物への抵抗感から購入をためらう買い手にも検討してもらいやすくなります。
ただし、更地にしても孤独死があった事実は消えないため、告知が必要な場合は土地の買主にも伝えることになります。解体費と家財の処分費は先に売主が負担し、更地にすると翌年度から土地の固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がる点も考えておく必要があります。
解体が選択肢になるのは、建物が古く住宅としての価値がほとんど残っていない一方で、土地の需要が高いエリアにある家です。
親が一人で暮らしていた家を相続した場合は、国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を使えるか確認しておきましょう。主な条件は次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた家(マンションなど区分所有建物は対象外)
- 亡くなる直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいない
- 売却代金が1億円以下
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 売るときに耐震基準を満たしているか、建物を取り壊して土地を売る
条件を満たせば、売却益から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円)を差し引けます。孤独死は亡くなった方が一人暮らしだったケースがほとんどなので、居住者の条件には当てはまりやすい特例です。売った年の翌年2月15日までに買主が取り壊す場合も対象になるため、建物付きのまま買取業者に売って、業者に解体してもらう形でも使えることがあります。
早く手放したい場合は仲介と買取のどちらがよい?
早く手放したいなら、買取がおすすめです。仲介は買い手が見つかるまでの期間が読めず、告知が必要な家では売れるまでに時間がかかりやすいためです。
買取であれば、査定から契約、引き渡しまでを短い期間でまとめられます。相続した家は、売れるまでの間も固定資産税や管理の手間がかかり、空き家のまま放置すると傷みも進みます。遠方に住んでいて家を見に行けない方や、相続人どうしで早く現金に分けたい方にとって、売却の時期を決められるのは大きな利点です。
一方、すぐに発見されて告知が不要な家で、立地がよく急ぐ理由もないなら、仲介で相場に近い価格を狙う価値があります。
迷ったときは、買取業者の査定額を先に聞いておき、その金額を最低ラインとして仲介で一定期間だけ売り出す方法もあります。期限までに売れなければ買取に切り替えると決めておけば、売れ残りを心配せずに仲介を試せます。
近所に知られずに孤独死した家を売却するには?
近所に知られずに売りたい場合は、ポータルサイトへの掲載や内覧を伴わない売り方を選びます。もっとも確実なのは買取業者への売却で、売り出しの告知や現地での販売活動をしないまま契約まで進められます。
買主に孤独死を伝える義務があることと、近所に事情が広まることは別の話です。告知は買主との間だけで行うものなので、正しく告知しながら静かに売ることは十分にできます。
広告や内覧を最小限にして売却する方法
買取業者に直接売る場合、物件情報を一般に公開することはありません。家に来るのは査定と現地確認の担当者くらいで、何度も見学者が出入りすることもないため、近所から見れば売却が進んでいることに気づきにくい売り方です。
仲介で売る場合も、販売活動の範囲は不動産会社と相談して絞れます。
- ポータルサイトやチラシに載せず、不動産会社が抱える購入希望者に個別に紹介してもらう
- 販売図面に建物の外観写真を載せない、住所を番地まで出さない
- 現地に「売物件」の看板を立てない
- 内覧は事前に絞り込んだ購入希望者だけにする
専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶと、不動産会社は物件をレインズ(不動産会社どうしの物件情報網)に登録する義務があります。レインズは一般の人が閲覧できるものではないため、登録しただけで近所に知られることはありません。
公開を絞れば、その分だけ買い手と出会う機会は減ります。仲介で非公開に近い売り方をするなら、売れるまでに時間がかかることも見込んでおきましょう。近所に知られないことを最優先にするなら、はじめから買取業者に相談するほうが早く、確実です。
査定の依頼や業者とのやり取りも、電話やメール、郵送で進められます。現地確認の日時も、平日の昼間など近所の人が少ない時間帯を指定できるので、希望があれば最初に伝えておきましょう。
買主への告知義務と近隣への情報公開は別問題
告知義務は、あくまで買主に対して負うものです。近所の人や、購入するかどうか決めていない問い合わせの段階の人に、孤独死の事情を詳しく話す必要はありません。
告知は、売買契約の前に告知書(物件状況報告書)に記載し、不動産会社が重要事項説明の中で買主に伝えるのが一般的な流れです。書面に書くのも、発生時期、場所、死因、特殊清掃を行ったことといった取引に必要な範囲に限られ、亡くなった方の氏名や発見の状況までは記載しません。
仲介で一般に売り出す場合、ポータルサイトの物件情報に「告知事項あり」とだけ表示されることがよくあります。この表示では、どんな事情があったのかまではわかりません。詳しい説明は、購入を具体的に検討する人に対して個別に行います。
一方で、孤独死の発見時に警察や救急車が来ていれば、近所の人がすでに知っていることもあります。その場合でも、近所の人から買主に事情が伝わる可能性を考えて、告知が必要なケースでは隠さずに伝えることが、売却後のトラブルを防ぐ一番の方法です。
孤独死した親の家を相続して売却するまでの流れ
親の家を売るには、相続人として家を引き継ぎ、名義を自分たちに変えてからでないと売買契約を結べません。相続人の確認から引き渡しまでは、次の5つのステップで進みます。
最初に、だれが相続人になるのかと、家の名義がだれになっているのかを確認します。
相続人は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本をそろえて確定させます。配偶者がいなければ子が、子がいなければ親や兄弟姉妹が相続人になります。遺言書が残っていないかも、自宅の中や公証役場、法務局の遺言書保管所で確かめておきましょう。
家の名義は、法務局で登記事項証明書を取れば確認できます。親の名義だと思っていた家が、祖父母の名義のまま相続登記されずに残っていることもあり、その場合は相続人の数が増えて手続きが複雑になります。
次に、家を含めて相続するか、相続放棄をするかを決めます。
亡くなった方に借金やローンが残っていて、財産より負債のほうが多い場合は、相続放棄を検討します。相続放棄は、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。費用は収入印紙800円と連絡用の郵便切手で、財産の調査に時間がかかる場合は期間の延長も申し立てられます(裁判所)。
前の章で触れたとおり、相続放棄を考えている間に家財を処分したり、家を売る契約を結んだりすると、相続を受け入れたとみなされることがあります。方針が決まるまでは、売却の話は査定を受ける程度にとどめておきましょう。
相続人全員が放棄すると家を売る人がいなくなり、売却はできません。孤独死した家の価値がどれくらいあるかは、放棄するかどうかの判断材料にもなるため、早めに査定を受けて財産の全体像をつかんでおくと迷わずに済みます。
相続することが決まったら、相続人の間で遺産分割協議を行い、家をだれが引き継ぐかを決めます。売って代金を分ける予定なら、その旨も協議書に書いておくと、後の手続きがスムーズです。
続いて、法務局に相続登記を申請し、家の名義を相続人に変えます。相続登記は令和6年4月1日から義務になり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります(法務省)。
相続人が自分であることを申し出るだけの「相続人申告登記」という簡易な方法もありますが、これでは家を売れません。売却には、正式な相続登記が必要です。
相続人が複数いて家を共有名義にした場合、売るには共有者全員の同意が必要になります。遠方に住む相続人がいるなら、司法書士に登記を依頼し、書類のやり取りを郵送で進める方法が一般的です。
名義の手続きと並行して、不動産会社に査定を依頼します。孤独死した家は、片付けや清掃をする前の現状のままで査定を受けて構いません。
査定を依頼するときは、次の情報を伝えると、より正確な金額が出ます。
- 亡くなった時期と、発見までのおおよその日数
- 死因(死亡診断書や死体検案書の内容)
- 特殊清掃の有無と、清掃した範囲
- 家財が残っているかどうか
- 建物の築年数、増改築や雨漏りの有無
事故物件に対応する買取業者と、仲介を得意とする不動産会社の両方に査定を依頼すると、売り方ごとの手取り額を比べられます。孤独死の事情を伝えたうえで、現状のままの価格と、清掃後の見込み価格を出してもらいましょう。
売却先と価格が決まったら、売買契約を結びます。孤独死の告知が必要な場合は、告知書に事実を記載し、契約書の特約にも告知の内容を書き込んでもらうと、後日のトラブルを防げます。
決済の日に残りの代金を受け取り、司法書士が所有権の移転登記を申請して、鍵を引き渡せば売却は完了です。買取の場合は、家財を残したままの引き渡しで済むことがほとんどです。
家を売って利益が出た場合は、売った年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告をします。前の章で紹介した空き家の特例を使う場合も、確定申告で手続きが必要です。特例の申告には、家がある市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」を添付する必要があるので、売却が決まった段階で準備を始めておきましょう。
横浜で孤独死した家の買取業者を選ぶポイント
孤独死した家の売却先を選ぶときは、査定額の高さだけで決めず、事故物件を扱った実績、清掃や残置物処分への対応、契約条件の3つをあわせて比べます。どれかが欠けると、査定額は高くても手取りが減ったり、売却後に責任を問われたりすることがあります。
孤独死・事故物件の買取実績があるか
最初に確かめたいのは、孤独死や事故物件を実際に買い取った実績があるかどうかです。
事故物件に慣れた業者は、告知が必要かどうかの判断、清掃や修繕の段取り、再販先の見込みまでを踏まえて価格を出せます。孤独死の事情を話したときに、告知の範囲や必要な書類を具体的に説明してくれるかどうかで、経験の差はすぐにわかります。
横浜市内での取引実績があるかも大切です。横浜は区によって地価や需要が大きく違い、坂の多いエリアや擁壁のある家も多いため、地域の事情を知っている業者のほうが価格の根拠を具体的に示せます。
業者の免許番号は、ホームページや名刺で確かめられます。宅地建物取引業の免許を持たない業者は、不動産の売買を業として行えません。査定の前に、会社名と免許番号を控えておきましょう。
特殊清掃や残置物の処分にも対応しているか
孤独死した家を現状のまま手放したいなら、特殊清掃と残置物の処分まで業者側で引き受けてくれるかを確認します。
対応している業者であれば、遺族が清掃業者や遺品整理業者を別々に探して手配する必要がありません。清掃と処分の費用を買取価格の中で調整してくれるため、先に費用を立て替える負担もなくなります。
確認しておきたいのは、費用をどちらが負担するかです。
- 特殊清掃と家財の処分を業者の負担で行い、その分を買取価格に織り込むのか
- 買取価格とは別に、清掃費や処分費を売主に請求するのか
査定額が高く見えても、後から処分費用を請求されると手取りは減ってしまいます。見積書に清掃や処分の費用がどう扱われているか、書面で確認しておくと安心です。
遺品の中から残しておきたい物を取り分けてもらえるか、貴重品が見つかったときに連絡をもらえるかも、あわせて聞いておきましょう。
査定価格だけでなく費用負担や契約条件も確認する
査定額が決まったら、売買契約の条件まで確認してから売却先を選びます。
| 確認する項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 契約不適合責任 | 売主の責任を免除する特約を結べるか |
| 費用負担 | 清掃・処分・解体・測量などの費用を売主に求めないか |
| 価格の変更 | 契約後に「室内の状態が想定より悪い」などの理由で減額されないか |
| 引き渡しの時期 | 相続登記の完了時期や、相続人の都合に合わせられるか |
| 代金の支払い | 手付金の額と、残りの代金を受け取る時期 |
特に注意したいのは、査定額を高く提示しておきながら、契約の直前や契約後に理由をつけて減額を求めてくるケースです。現地を確認したうえでの最終的な買取価格なのか、書面で確かめておきましょう。
2〜3社に査定を依頼して比べると、提示額だけでなく、説明の丁寧さや契約条件の違いも見えてきます。遺族の事情をくみ取り、手続きの流れや費用を最初からわかりやすく示してくれる業者なら、安心して任せられます。
孤独死した家の売却でよくある質問
孤独死した家の売却で、特に多い質問にお答えします。
まとめ|横浜で孤独死した家は現状のまま売却を相談できる
横浜で孤独死があった家も、仲介・買取のどちらでも売却できます。押さえておきたいのは次の点です。
- 自然死や病死ですぐに発見された場合、買主への告知は原則不要
- 特殊清掃や大規模なリフォームをした場合は告知が必要で、売買には「何年たてば不要」という期間の目安はない
- 隠して売ると、免責の特約があっても責任を免れない
- 特殊清掃や遺品整理の前でも、事故物件に対応する買取業者なら現状のまま売れる
- 相続放棄を考えているなら、家財の処分や売却の契約は方針を決めてから
清掃や片付けをしてから売るかどうかは、査定を受けてから決めても遅くありません。まずは事故物件の買取に対応する業者に孤独死の事情を伝え、現状のままの査定額を聞いてみてください。手元に残る金額がわかれば、相続するかどうかも、どの売り方を選ぶかも判断しやすくなります。

