「解体業者に見積もりを頼んだら、重機が入らないと言われた」「階段の上の実家を更地にしたいのに、廃材を運び出せないと断られた」。坂と階段の多い横浜では、こうした理由で解体が進まない家が少なくありません。
結論から言うと、解体できない家でも、訳あり物件を扱う買取業者なら現状のまま買い取ってもらえる可能性があります。解体費用を先に用意する必要もありません。
この記事では、横浜で家を解体できない主な理由、3つの売却方法の違い、買取業者を選ぶときに確かめたい点、横浜市の窓口で再建築不可かどうかを調べる手順まで、売却を決めるのに必要な情報を順番にお伝えします。
横浜で解体できない家でも売却できる?
解体できない家でも、売却をあきらめる必要はありません。建物を残したまま「現状のまま」で手放す方法があり、なかでも訳あり物件を専門に扱う買取業者は、解体が難しい家の買取に慣れています。
ただし、売りやすさは解体できない理由によって変わります。費用が高いだけの家と、再建築不可で建て直せない家とでは、買い手の探し方も価格のつき方も違います。理由ごとの違いは次の章以降でくわしく説明します。
解体できない家でも現状のまま売却できる可能性がある
不動産の売買では、建物を解体してから売らなければならない決まりはありません。土地と建物をそのまま引き渡す「現況渡し」は一般的な取引の形です。
買い手にとって大事なのは、建物がどうなっているかよりも「その土地を買って何ができるか」です。手作業でなら解体できる、リフォームして住める、隣の土地と合わせて使える、といった見込みがあれば、解体前の状態でも買い手はつきます。
売主が「重機が入らない」「解体費用が高すぎる」とあきらめた家でも、手壊し解体の段取りやリフォームでの再生を自社でできる業者なら、その費用を見込んだうえで買い取れます。売主の側で解体を済ませておく必要はありません。
一般的な仲介では売れにくくても専門業者なら買取できる場合がある
仲介は、不動産会社が買い手を探して売主と引き合わせる売り方です。買い手の多くは、住宅ローンを組んでマイホームを探している個人です。
解体できない家は、この個人の買い手から敬遠されやすくなります。建て替えの計画が立てにくく、再建築不可なら住宅ローンの審査も通りにくいからです。仲介で売り出しても問い合わせが入らず、何か月も売れ残ることがあります。
訳あり物件の買取業者は、自社が買主になって物件を買い取り、リフォームや手壊し解体、隣地との一体利用などで再生させてから活用します。個人の買い手が避ける条件でも、再生の手段を持っていれば買取の対象になります。解体できない家を早く確実に手放したい場合は、こうした業者に相談するのが近道です。
横浜で家を解体できない・解体しにくい主な理由
横浜は丘と谷が入り組んだ地形で、斜面に沿って住宅地が広がっています。横浜市の公表では、市内の土砂災害警戒区域は2,000か所を超え、戸塚区・港北区・保土ケ谷区・金沢区・栄区などに多く指定されています。斜面地、階段の先の家、狭い路地沿いの家が多いことが、解体のしにくさにつながっています。
ここでは、横浜で解体が難しくなる主な理由を7つ挙げます。前半の5つは工事が物理的に難しいケース、最後の2つは性質の違う理由です。
道路が狭く解体用の重機が入らない
木造住宅の解体では、ふつう小型でも油圧ショベルなどの重機を使い、廃材はトラックで運び出します。家の前の道が狭いと、重機もトラックも敷地まで入れません。
横浜の古い住宅地には、幅員4m未満の路地が多く残っています。車が入れない道では、職人が手作業で建物を壊す「手壊し解体」になり、工期が延びて人件費がかさみます。解体業者によっては、手壊しになる現場は請け負わないこともあります。
重機が入らないことは、解体を不可能にするのではなく、費用と手間を大きく増やします。見積もりの段階で「この現場は難しい」と言われた家は、この理由に当てはまることが多いはずです。
階段や坂道の先にあり廃材を運び出せない
横浜の山手や丘の住宅地には、車道から階段を上った先に建っている家がたくさんあります。このような家では、重機を入れられないうえに、壊した廃材を人の手で階段の下まで運び下ろさなければなりません。
木造2階建てを解体すると、木材・瓦・土壁・コンクリート片などがトラック何台分も出ます。それを一つずつ担いで階段を往復するため、平地の家とは比べものにならない人手と日数がかかります。急な坂道でも、トラックを横付けできなければ事情は同じです。
階段立地の家は、解体だけでなく、建て直すときの資材の搬入も同じように大変です。買い手もこの点を見て価格を考えるため、売却の際には解体費用と再建築の手間の両方が評価に影響します。
崖地や擁壁の問題で安全に解体できない
斜面地の家では、敷地の下や横に崖があったり、古い擁壁(土留めの壁)で土を支えていたりします。建物を壊すと、建物の重さや基礎で押さえられていた地盤のバランスが変わり、擁壁や斜面が崩れるおそれが出てきます。
古い擁壁には、現在の基準を満たさない石積みや、ひび割れ・はらみ(膨らみ)が出ているものもあります。こうした現場では、解体の前に擁壁の安全性を調べたり、仮設の補強をしたりする必要があり、業者が工事を引き受けない場合もあります。
横浜市の建築基準条例には、高さ3mを超える崖の近くで建築するときに擁壁などを求める規定(いわゆる「がけ条例」)があります。解体して建て直す際には、崖の高さや位置によって擁壁の新設が必要になり、その費用は解体費用よりも大きくなることがあります。
長屋・連棟住宅で隣家と建物がつながっている
長屋や連棟住宅(テラスハウス)は、複数の住戸が壁や屋根を共有して一棟になっている建物です。自分の住戸だけを壊すと、隣の住戸の壁がむき出しになったり、建物全体の構造が弱くなったりします。
そのため、長屋の一戸を解体するには、隣家の所有者の同意を得たうえで、切り離した後の壁の補修や補強まで行う必要があります。補修の範囲や費用負担で話がまとまらず、解体に進めないケースも少なくありません。
長屋は区分所有の登記がされているものと、されていないものがあり、権利関係によっても手続きが変わります。この点は「解体できない家を売却する前に確認したい注意点」でくわしく説明します。
隣家と密接していて解体工事が難しい
建物の壁と隣家の壁の間がほとんど無い住宅密集地では、足場を組むスペースがとれず、外側から安全に解体できません。壊した部材や粉じんが隣家に落ちたり、振動で隣家の外壁やブロック塀を傷めたりするおそれもあります。
このような現場では、内側から少しずつ手作業で壊す、隣家の敷地に足場を置かせてもらう、養生を厚くするなどの対応が必要です。隣家の協力が得られないと工事自体が進められず、作業できる業者も限られます。
横浜では、戦後に建てられた木造住宅が密集する地域が残っています。境界ぎりぎりに建てられた古い家ほど、この理由で解体が難しくなります。
再建築不可のため解体すると建て直せない
再建築不可とは、今の建物を解体すると、その土地に新しく家を建てられない土地のことです。物理的には解体できても、壊した瞬間に「家を建てられない土地」になるため、解体に踏み切れない理由になります。
建築基準法では、建物の敷地は幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。この法律ができる前から建っていた家の中には、この条件を満たしていないものがあり、今の建物は使い続けられても、建て直しは認められません。
再建築不可の家を解体すると、建物が無くなって固定資産税の住宅用地の軽減が外れるうえ、建物を使った活用もできなくなります。解体しないまま、リフォームして使うことを前提に買い手を探すほうが、価値を残しやすいのです。自分の家が再建築不可かどうかを調べる方法は、後の章で説明します。
物理的には可能でも解体費用が高額で踏み切れない
ここまでの理由とは性質が違い、工事はできるものの費用が負担になって解体できないケースです。上で挙げた理由と重なることもよくあります。
解体費用は、建物の構造と広さに加え、重機が使えるか、廃材をどこまで運ぶか、アスベストを含む建材があるかなどで大きく変わります。横浜のように手壊しや小運搬(小型の車両で何度も運ぶ作業)が必要な現場が多い地域では、同じ広さの家でも平地より高くなりがちです。
費用の目安は、横浜市が公開している「すまいの終活ナビ」で調べられます。土地と建物の面積、最寄り駅、前面道路の幅員を入れると、解体費用と解体後の土地の売却価格の概算が無料でわかります。解体費用が売却価格に見合わないとわかったら、解体せずに売る方法を検討する目安になります。
横浜で解体できない家を売却する3つの方法
解体できない家の売り方は、大きく分けて「買取業者に売る」「仲介で古家付き土地として売り出す」「隣地の人に買ってもらう」の3つです。早さと確実さを優先するなら買取、価格を優先して時間をかけられるなら仲介、隣地に買ってくれそうな人がいるなら直接の相談が向いています。
| 売却方法 | 売れるまでの早さ | 価格の傾向 | 解体できない家との相性 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 訳あり物件に対応した買取業者 | 早い(業者が買主になる) | 仲介より低くなりやすい | 良い(現状のままで相談できる) | 早く確実に手放したい、遠方に住んでいる、相続した家を整理したい |
| 古家付き土地として仲介 | 買い手しだいで長引くことがある | 買い手がつけば買取より高くなりやすい | 物件による(再建築不可は難しい) | 建て替えができる土地で、売却を急いでいない |
| 隣地所有者・近隣住民への売却 | 相手の判断しだい | 相手にとっての価値で決まる | 良い(隣地と合わせれば使い道が広がる) | 隣の人と関係が良く、土地を広げたい事情がありそう |
訳あり物件に対応した不動産買取業者に売却する
買取は、不動産会社が自ら買主になって物件を買い取る方法です。買い手を探す期間がいらないため、査定から契約までが早く、価格と条件に納得すればそのまま現金化できます。
訳あり物件を専門に扱う業者は、再建築不可・長屋・崖地・老朽化した家など、一般の買い手が避ける物件を買い取ってから、リフォームや手壊し解体で再生させるノウハウを持っています。家財が残っている、建物が傾いている、といった状態でも、現状のまま査定してもらえます。
この方法が向いているのは、次のような人です。
- 解体業者に断られた、または解体費用を用意できない
- 相続した家を早く整理したい、遠方に住んでいて管理が難しい
- 売却後に建物の不具合で責任を問われたくない
- 近所に知られずに売りたい
価格は仲介で売れた場合より低くなりやすいため、複数の業者から査定を取って比べると納得して決められます。
古家付き土地として不動産仲介で売り出す
古家付き土地は、建物が残ったままの土地として売り出す方法です。買い手は自分で解体して家を建てるか、建物をリフォームして使うかを選べます。
接道条件を満たしていて建て替えができる土地なら、この方法で買い手が見つかる可能性は十分あります。駅に近い、日当たりが良いなど、土地に魅力がある場合は、買取より高く売れることもあります。
一方で、解体が物理的に難しい家や再建築不可の家は、個人の買い手が住宅ローンを組みにくく、問い合わせが入りにくいのが実情です。売り出してから3か月ほどたっても反応が無ければ、買取への切り替えを考える目安になります。仲介で売れた場合は、成約価格に応じた仲介手数料がかかる点も計算に入れておきましょう。
隣地所有者や近隣住民に購入を相談する
隣の土地の所有者にとって、あなたの土地は特別な価値を持つことがあります。隣地と合わせれば敷地が広がり、接道条件を満たして建て替えられるようになる、駐車場や庭として使える、といったケースです。
とくに再建築不可の家は、隣地と一体にすることで道路に2m以上接するようになり、建築できる土地に変わることがあります。長屋の場合も、隣の住戸の所有者が買い取れば、切り離しの問題そのものがなくなります。
ただし、個人どうしの売買では価格の決め方や契約書の作成、登記の手続きでもめやすくなります。話がまとまりそうなら、不動産会社に仲介を頼むか、司法書士に契約と登記を依頼すると安心です。相手に買う意思が無い場合や、関係がこじれそうな場合は、無理をせず買取業者への相談に切り替えましょう。
解体できない家をそのまま買取してもらうメリット・デメリット
買取業者に現状のまま売る最大のメリットは、解体費用やリフォーム費用を先に用意しなくても、短い期間で売却できることです。一方で、業者が解体や再生の費用とリスクを引き受けるぶん、仲介で売れた場合より価格は低くなりやすくなります。
解体費用を先に用意せず売却できる場合がある
解体してから売る場合、解体費用は工事が終わった時点で支払うのが一般的で、売却代金が入る前に自分で用意しなければなりません。手壊しや小運搬が必要な横浜の現場では、まとまった金額になることもあります。
現状のまま買取に出せば、解体するかどうか、どう解体するかは買主である業者が判断し、費用も業者が負担します。売主は、査定額に納得できれば、手元の資金を使わずに売却を進められます。
ただし、業者は解体や再生にかかる費用を見込んで買取価格を決めます。費用がかからないというより、「解体費用を先に払わず、売却価格の中で精算している」と考えるとわかりやすいでしょう。物件によっては、売却代金が解体などの費用を下回るとして、価格がつかない、または売主の負担が出る提案になることもあります。
建物の状態が悪くても相談できる
雨漏り、シロアリ、建物の傾き、長く空き家にしていたことによる傷みなどがあっても、訳あり物件の買取業者は相談を受け付けています。こうした家を自社で修繕・再生してから活用するのが、業者の仕事だからです。
家財道具が残ったままでも査定してもらえます。遺品の整理が終わっていない実家でも、まずは現状を見てもらい、片付けをどこまでするかは業者と相談して決められます。
仲介より早く売却できる可能性がある
仲介では、売り出しから買い手が見つかるまでの期間が読めません。解体できない家は買い手が限られるため、さらに長引きやすくなります。売れるまでの間も、固定資産税や建物の管理の手間はかかり続けます。
買取なら、業者が査定して価格を示し、売主が条件に納得すれば契約に進めます。業者によっては最短数日での現金化をうたっているところもあります。相続税の納付や、施設に入った親の費用のために期限までに現金が必要な場合にも、予定を立てやすくなります。
一般的な仲介売却より査定額が低くなる場合がある
買取価格は、業者が物件を再生して売るときの見込み価格から、解体・リフォーム・擁壁の補修などの費用、販売までの経費、業者の利益を差し引いて決まります。そのため、同じ物件が仲介で売れた場合と比べると、価格は低くなりやすくなります。
ただ、解体できない家は、仲介に出してもそもそも買い手がつかないことがあります。「仲介ならいくらで売れるか」ではなく、「いつまでに、どの程度の手間で、いくらで手放せるか」で比べると、買取が合っているかどうかを判断しやすくなります。
査定額は業者によって差が出ます。再生の手段や得意な物件が業者ごとに違うためです。1社の査定だけで決めず、2〜3社に査定を頼むと、その物件の買取価格の水準がつかめます。
横浜で解体できない家の買取業者を選ぶポイント
業者を選ぶときは、解体できない家と同じような物件を買い取った実績があるかを最初に見ます。そのうえで、解体や残置物の扱い、査定額から差し引かれる費用、契約不適合責任の扱いを査定の段階で確かめておくと、契約の直前で条件が変わるのを防げます。
次の表は、横浜の物件に対応していて、再建築不可などの訳あり物件の買取を掲げる業者の比較です。表の内容は各社の公式サイトに書かれていることをもとにしています。「記載なし」は公式サイトに書かれていないという意味で、対応していないという意味ではありません。
| 業者(サービス名) | 本社・免許 | 横浜・神奈川への対応 | 対応をうたう物件 | 残置物 | 契約不適合責任 | 現金化までの目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社AlbaLink(訳あり物件買取プロ) | 東京都江東区/国土交通大臣免許 | 新横浜に横浜支店。神奈川県全域が買取エリア | 再建築不可、空き家、築古物件、共有持分、相続物件など | そのままで買取 | 免除できると明記 | 契約日の即日入金も可能 |
| 株式会社ドリームプランニング(URUHOME) | 横浜市中区/国土交通大臣免許 | 横浜に本社。横浜市内の買取実績あり | 再建築不可、連棟・長屋、崖地・傾斜地、擁壁、階段接道、共有持分など | 撤去も可能 | 記載なし | 最短2日 |
| 第一土地建物株式会社 | 東京都世田谷区/東京都知事免許 | 横浜市中区など神奈川県内の買取実績あり | 再建築不可、既存不適格、長屋・連棟など | 撤去なしで可 | 免責と明記 | 査定結果は最短即日 |
| 株式会社ネクスウィル(ワケガイ) | 東京都港区/国土交通大臣免許 | 全国対応 | 再建築不可、旗竿地、狭小地、長屋、空き家、共有持分など | そのままで可 | 記載なし | 最短3日 |
| 株式会社コーセン | 横浜市中区/神奈川県知事免許 | 横浜市・川崎市が中心 | 傾斜地、崖地、擁壁、再建築不可、共有持分など | 現状のままで可 | 責任を負わないと明記 | 2週間〜3か月 |
横浜の地形ならではの物件に強いのは、横浜に本社があるドリームプランニングとコーセンです。ドリームプランニングは、横浜市南区の傾斜地・がけ地や連棟式建物などの買取実績を公式サイトに掲載しています。コーセンは「横浜ならではの崖地や擁壁物件」の買取を掲げています。
再建築不可の物件で、売却後の責任をはっきりさせておきたいなら、AlbaLinkか第一土地建物が候補になります。どちらも公式サイトで契約不適合責任の免除・免責を明記しています。AlbaLinkは新横浜に支店があり、横浜市内の再建築不可の戸建ての買取事例も公開しています。第一土地建物は再建築不可を専門にしていて、境界確定や測量をしないままでの買取にも対応するとしています。
長屋やテラスハウスを売りたい場合は、長屋の買取実績を公開しているネクスウィルも選択肢に入ります。全国対応で、最短3日での現金化を掲げています。
迷ったら、横浜の物件に強い業者と全国対応の業者から1社ずつ、合わせて2〜3社に査定を頼むと、条件と価格を比べやすくなります。
再建築不可・長屋・狭小地などの買取実績があるか
解体できない家は、物件ごとに難しさの中身が違います。重機が入らない家、擁壁の補修が必要な家、隣家の同意がいる長屋では、業者が見積もるべき費用もリスクも別物です。
自分の家と同じ種類の物件を買い取った実績がある業者は、その物件をどう再生させるかの見通しを持っているため、査定の根拠がはっきりしていて、価格もつきやすくなります。公式サイトの買取事例で、物件の種類(再建築不可・長屋・崖地など)と地域を見てみましょう。横浜市内の事例が載っていれば、地域の事情をわかっている業者だと判断できます。
問い合わせのときに「同じような物件を最近買い取ったことはありますか」と聞くのも有効です。具体的な事例を挙げて答えてくれる業者ほど、相談しやすい相手です。
解体や残置物の処理について相談できるか
解体できない家を買い取った後、業者は手壊し解体をするか、リフォームして再生するかを決めます。解体を自社やグループ会社で手がけている業者は、解体費用を正確に見積もれるため、根拠のある査定額を出しやすくなります。
家具や家電、仏壇、庭木などの残置物をどこまで売主が片付ける必要があるかも、業者によって違います。そのままで引き渡せる業者なら、片付けの手間と費用を省けます。
査定のときには、次の点を聞いておくと安心です。
- 家財をすべて残したまま引き渡してよいか
- 仏壇や貴重品など、売主が持ち出すべきものはあるか
- 残置物の処分費用は買取価格に含まれているか、別に請求されるか
査定額から差し引かれる費用が明確か
業者から提示された金額が、そのまま手元に入るとは限りません。測量費、残置物の処分費、抵当権の抹消費用、印紙代など、契約や決済の段階で差し引かれたり、売主が負担したりする費用があります。
査定額を比べるときは、最終的に手元に残る金額で比べることが大切です。業者には「この金額から差し引かれる費用はありますか」「売主が別に負担する費用はありますか」と聞き、内訳を書面やメールで出してもらいましょう。
条件によっては、物件に値段がつかず、売主が費用を負担して引き取ってもらう提案になることもあります。そうした場合も、どの費用がいくらかかるのかを示してもらえば、ほかの業者の提案と比べられます。
契約不適合責任が免責になるか
契約不適合責任とは、引き渡した物件に契約書に書かれていない不具合(雨漏り・シロアリ・地中の埋設物など)が見つかったときに、売主が負う責任のことです。
古い家や解体できない家は、売主自身も把握していない不具合を抱えていることが多い物件です。売買契約で契約不適合責任を免責にしておけば、引き渡し後に不具合が見つかっても、修補や損害賠償を求められる心配が小さくなります。
査定や契約の前に、「契約不適合責任は免責になりますか」と業者に確認し、契約書の特約にその旨が書かれているかを見ておきましょう。免責になる場合でも責任が残るケースがあるため、くわしくは「解体せず売る場合も契約内容によって責任が残ることがある」で説明します。
解体できない家の売却価格を左右する条件
解体できない家の買取価格は、土地の価値から、解体や補修などで買主が負担する費用とリスクを差し引くことで決まります。そのため、同じ地域でも物件ごとの差が大きく、近所の売り出し価格だけでは目安になりません。ここでは、価格を左右する主な条件を見ていきます。
立地・土地面積・道路との接し方
価格のベースになるのは土地の価値です。最寄り駅からの距離、周辺の住宅需要、土地の広さと形が基本になります。横浜市内でも、駅に近い住宅地と、バス便で坂の上にある住宅地とでは、土地の評価が大きく変わります。
解体できない家では、道路との接し方がとくに重要です。前面道路の幅が広く、車で敷地の近くまで入れるほど、解体やリフォームの費用を抑えられるため、価格は上がります。反対に、階段の上にある、車が入れない路地の奥にある、といった物件は、工事の手間がかかるぶん価格が下がります。
道路に接する長さや、その道路が建築基準法上の道路かどうかは、次に説明する再建築の可否にも直結します。
再建築やリフォームができるか
再建築できるかどうかは、価格を大きく分ける条件です。再建築不可の土地は、建物が古くなっても新しく家を建てられず、多くの金融機関で住宅ローンの対象外になるため、買い手が限られます。そのぶん、同じ地域・同じ広さの再建築できる土地と比べて、価格はかなり低くなります。
ただし、再建築不可でも、今の建物を残したままリフォームして住める、賃貸に出せる、という見込みがあれば価値は残ります。骨組みがしっかりしていて大規模な修繕をしなくても使える建物なら、買取価格にもその分が反映されます。
隣地の一部を買う、通路の使用について隣地の所有者から承諾を得るなどの方法で、再建築できる土地に変わる可能性がある物件は、業者がその見込みを価格に織り込むこともあります。
建物の老朽化や擁壁の状態
建物の傷みが進んでいるほど、リフォームで再生するための費用がかさみ、価格は下がります。雨漏り、シロアリ、土台の腐食、建物の傾きなどは、とくに費用が大きくなりやすい不具合です。
斜面地の物件では、擁壁の状態も価格に大きく影響します。古い石積みの擁壁や、ひび割れ・はらみがある擁壁は、作り直しが必要になることがあり、その費用は建物の解体費用を上回ることもあります。擁壁が建築確認や検査を受けたものかどうかも、買主が気にするポイントです。
擁壁の工事記録や検査済証が手元に残っていれば、査定のときに業者へ渡しましょう。安全性を確かめる材料があると、業者が見込むリスクを小さくでき、価格の下がり幅を抑えられることがあります。
解体費用・補修費用の見込み
買取業者は、物件を買い取った後にかかる費用をすべて見積もって、買取価格から差し引きます。解体できない家では、この費用の見込みが価格を大きく左右します。
主な費用は、手壊し解体や小運搬を含む解体費用、擁壁の補修や新設の費用、建物を再生させる場合のリフォーム費用、長屋の場合は切り離し後の隣家の壁の補修費用などです。どれも、現地を見なければ正確に見積もれません。
そのため、解体できない家の査定は、写真や住所だけの簡易査定ではなく、現地調査を受けたうえでの金額で判断するのが確実です。簡易査定の金額が高くても、現地調査の後に大きく下がることがあります。比べるときは、現地調査を経た金額どうしで比べましょう。
解体できない家を売却する前に確認したい注意点
売却の前に、再建築の可否、権利関係、物件の不具合、契約上の責任の4点を確認しておくと、査定がスムーズになり、売った後のトラブルも防げます。どれも売主が把握しているかどうかで、業者とのやり取りの手間や価格の根拠が変わる項目です。
再建築不可かどうかは接道状況から確認する(横浜市での調べ方)
再建築できるかどうかは、敷地が接している道が建築基準法上の道路か、その道路に敷地が2m以上接しているかで判断します。横浜市では、建築基準法上の道路の種別を「指定道路図」で公開していて、自宅にいながら調べられます。
横浜市での調べ方は次のとおりです。
- 横浜市の行政地図情報提供システム「i-マッピー」を開き、建築・造成等に関する制限の地図で物件の場所を表示する
- 敷地の前の道路をクリックし、情報欄に出る「建築基準法道路種別(指定道路図)」を確認する
- 道路に線が表示されない、種別の意味がわからない場合は、横浜市建築局の建築指導課(市庁舎25階)に相談する
- 紙の資料で見たいときは、市庁舎2階の「よこはま建築情報センター」で指定道路図などを閲覧する
調べ方の詳細は、横浜市の建築基準法の道路についてのページにまとまっています。横浜市は道路種別の問い合わせを電話では受け付けていないため、窓口かインターネットの相談フォームを使います。
道路の種別がわかったら、敷地が道路に接している長さも確かめます。法務局で取れる公図や地積測量図、家を建てたときの建築確認の書類が手がかりになります。幅員4m未満の「2項道路」に面している場合は、道路の中心線から2m下がった位置までが道路とみなされるため、建て替えのときに敷地の一部を道路として提供する必要があります(セットバック)。
道路種別の判断は専門的なので、自分で結論を出しきれなくても構いません。わかったことを査定のときに業者へ伝えれば、話が早く進みます。
長屋や共有名義の物件は権利関係を確認する
長屋は、登記の仕方によって売却の手続きが変わります。各住戸が区分所有建物として登記されていれば、自分の住戸だけを売れます。区分所有の登記がされておらず、一棟の建物として共有になっている場合は、ほかの住戸の所有者の同意がなければ建物を売れないことがあります。
相続した家を兄弟姉妹で共有している場合も、建物と土地を丸ごと売るには共有者全員の同意が必要です。一人でも反対する人がいると、仲介でも買取でも売却を進められません。
まず法務局で登記事項証明書を取り、所有者の名前と持分、区分所有かどうかを確認しましょう。共有者の間で話がまとまらない場合は、自分の持分だけを買い取る業者もあります。比較表の業者の中にも、共有持分の買取を掲げているところがあります。
境界・越境・雨漏りなどの問題を把握しておく
古い住宅地では、隣地との境界がはっきりしていない、塀や屋根、樹木が隣地にはみ出している(越境)、といった問題がよくあります。こうした問題は、売却後に隣地の所有者とのトラブルになりやすいため、わかっている範囲で業者に伝えておきます。
建物の不具合も同じです。雨漏り、シロアリの被害、給排水管の故障、建物の傾き、擁壁のひび割れなど、売主が知っていることは書き出しておきましょう。売主が知っていた不具合を伝えずに売ると、契約不適合責任を免責にしていても責任を問われることがあります。
境界標の有無、過去の測量図、修繕の記録なども、手元にあれば集めておきます。資料がそろっているほど業者が見込むリスクが小さくなり、査定額が下がりにくくなります。
解体せず売る場合も契約内容によって責任が残ることがある
売買した物件が、種類・品質・数量について契約の内容に合わないとき、買主は売主に対して修補などの追完、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められます。これが契約不適合責任で、民法の562条から564条に定められています。
建物を解体せずに売る場合も、この責任は原則として売主にかかります。品質に関する不適合なら、買主が不具合を知った時から1年以内に売主に通知すれば、権利を行使できます(民法566条)。引き渡しから何年もたった後でも、買主が不具合を見つけたタイミングによっては責任を問われる可能性があるということです。
この責任は、売買契約の特約で免除できます。個人が売主で、不動産会社が買主になる買取では、契約不適合責任を免責とする特約を結ぶのが一般的です。ただし、免責の特約があっても、売主が知っていながら買主に告げなかった不具合については責任を免れません(民法572条)。雨漏りやシロアリなど、知っている不具合は必ず伝えておきましょう。
仲介で個人に売る場合は、買主が責任の免除に応じないことも多く、免責にできたとしても、通知の期間を引き渡しから数か月に限るなどの形になりがちです。売却後の責任をできるだけ残したくない場合は、契約書の特約の文言まで確認してから署名しましょう。
横浜で解体できない家を売却するまでの流れ
買取業者に売る場合、物件の整理から引き渡しまでは4つのステップで進みます。査定を頼んだからといって売却が決まるわけではないので、まずは相談してみるところから始めて大丈夫です。
【図解案】STEP1〜STEP4の流れを横並びの4ステップで図示
STEP1:登記情報や物件の状態を整理する
前の章で挙げた4つの点(再建築の可否、権利関係、境界や不具合、契約上の責任)について、わかる範囲で確認しておきます。すべてを調べ終えてから相談する必要はありません。
手元にそろえておくと話が早い書類は、次のとおりです。
- 登記事項証明書(法務局で取得)、または固定資産税の納税通知書
- 公図・地積測量図、建築確認の書類など、敷地や建物の資料
- 不具合や修繕の記録をまとめたメモ
STEP2:解体が難しい物件に対応する業者へ査定を依頼する
前の章の比較表などを参考に、解体できない家の買取実績がある業者を2〜3社選んで査定を依頼します。問い合わせの際は、物件の所在地に加えて「重機が入らない」「階段の上にある」「長屋で隣とつながっている」など、解体できない理由を具体的に伝えましょう。
最初はインターネットや電話で概算の金額が示され、その後、現地調査を経て正式な買取価格が提示されるのが一般的です。解体できない家は現地の状況で費用が大きく変わるため、現地調査には立ち会い、道路の状況や建物の気になる点を直接伝えると、査定の精度が上がります。
STEP3:買取価格と契約条件を比較する
各社の提示が出そろったら、価格だけでなく条件も含めて比べます。比べるポイントは次のとおりです。
| 比べる項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 手元に残る金額 | 買取価格から差し引かれる費用や、売主が負担する費用を除いた金額 |
| 契約不適合責任 | 免責になるか、契約書の特約にどう書かれるか |
| 残置物 | そのまま引き渡せるか、処分費用の扱い |
| 引き渡しの時期 | 決済日の目安、引っ越しや片付けの猶予があるか |
| 測量・境界 | 売主が測量や境界確定をする必要があるか |
わからない点は、契約前に遠慮なく質問しましょう。説明があいまいなまま契約を急がせる業者は避けたほうが安心です。
STEP4:売買契約・決済・引き渡しを行う
条件に納得できたら、売買契約を結びます。契約のときには本人確認書類、実印、印鑑証明書などが必要になり、手付金を受け取るのが一般的です。
その後、決済の日に残りの代金を受け取り、物件の鍵を引き渡します。住宅ローンが残っている場合は、決済の日に売却代金でローンを返済し、抵当権を抹消します。所有権移転の登記は司法書士が手続きするのが一般的です。
売却で利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年に確定申告が必要です。相続した空き家の特例を使う場合も確定申告が必要になるため、決済が終わったら必要な書類を早めにそろえておきましょう。
横浜の解体できない家の売却に関するよくある質問
解体できない家を放置するとどうなりますか?
家が建っている土地には、固定資産税の住宅用地の特例が適用されています。200㎡以下の部分は課税標準が6分の1に軽減されていて、空き家でも建物があるかぎり、この軽減は続きます。
ただし、管理されずに傷みが進み、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、この特例が外れて土地の固定資産税が上がります。管理不全空家への勧告で特例が外れるしくみは、国土交通省が説明している2023年12月施行の改正空家法で加わりました。
さらに、屋根材や外壁が落ちて通行人や隣家に被害を与えれば、所有者が損害賠償の責任を負うことがあります。斜面地の家では、擁壁の崩れが隣地に被害を広げるおそれもあります。使う予定が無いなら、傷みが進む前に売却を検討するのが得策です。
解体せずに売っても相続空き家の3,000万円特別控除は使えますか?
条件を満たせば使えます。相続した空き家を売ったときの譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例で、国税庁が要件を公開しています。
主な要件は、昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、相続の直前に亡くなった人が一人で住んでいたこと、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどです。適用期限は令和9年12月31日までの売却です。
解体せずに売る場合は、売る時点で家が耐震基準を満たしているか、売った年の翌年2月15日までに耐震改修か取り壊しが済んでいることが必要です。後者は2024年1月1日以後の売却から加わった要件で、買主が工事をする形でも対象になります。買取業者に売るなら、翌年2月15日までに取り壊しや耐震改修をしてもらえるかを、契約前に確認しておきましょう。相続人が3人以上いる場合、控除額は1人あたり2,000万円です。
横浜市の解体費用の補助金は使えますか?
横浜市には「住宅除却補助制度」があり、条件を満たせば解体費用の一部の補助を受けられます。対象は、平成12年5月末までに着工した木造住宅などで、耐震診断などで倒壊のおそれがあると判定されたものです。補助の上限は、昭和56年5月末までに建てられた住宅で50万円、それ以降平成12年5月までの住宅で20万円(非課税世帯は40万円)です。
補助を受けられるのは個人の所有者で、交付決定の通知を受ける前に解体の契約や着工をすると対象外になります。受付期間や予算にも限りがあります。
解体せずに買取業者へ売る場合は、業者が解体するため、売主がこの補助を使う場面はありません。自分で解体してから売るか、現状のまま売るかを決める前に、補助額と解体費用の差を比べて判断しましょう。窓口は横浜市建築局の建築防災課です。
家財道具や不用品が残っていても売却できますか?
売却できます。訳あり物件の買取業者の多くは、家具や家電、衣類などが残ったままでも査定と買取の相談に応じています。どこまで片付けるかは業者と相談して決められるため、まずは現状のまま査定を頼んでください。
相続登記が終わっていなくても査定できますか?
査定は相続登記の前でも受けられます。ただし、売買で買主に名義を移すには、先に相続人の名義に登記しておく必要があるため、決済までには相続登記を済ませなければなりません。
相続登記は2024年4月1日から義務になり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります(法務省)。査定と並行して司法書士に相談しておくと、売却の予定に間に合わせやすくなります。
買取業者に相談したら必ず売らないといけませんか?
査定や相談をしただけで、売却する義務は生じません。売るかどうかは、提示された価格と条件を見てから決められます。
複数の業者に査定を頼み、どこにも売らないという結論になっても問題ありません。査定額に納得できない場合や、もう少し考えたい場合は、その旨をはっきり伝えれば十分です。契約を急がせるような対応をされたら、その場で返事をせず、ほかの業者の提案と比べてから判断しましょう。
まとめ|横浜で解体できない家は壊す前に現状買取を相談しよう
横浜の斜面地や階段の上、狭い路地沿いの家は、重機が入らない、廃材を運び出せない、長屋で隣とつながっている、といった理由で解体が進まないことがあります。それでも、解体してから売る必要はありません。
- 解体できない家でも、訳あり物件に対応した買取業者なら現状のまま買い取ってもらえる可能性がある
- 再建築不可かどうかは、横浜市の「i-マッピー」で道路種別を調べ、わからなければ建築指導課に相談して確認できる
- 買取価格は仲介より低くなりやすいが、解体費用を先に払わず、短い期間で手放せる
- 業者を選ぶときは、同じ種類の物件の買取実績、残置物の扱い、手元に残る金額、契約不適合責任の扱いを確かめる
無理に解体工事を進めると、再建築不可の土地では建物が使えなくなり、固定資産税の軽減も外れてしまいます。壊す前に、まずは解体できない家の買取実績がある業者2〜3社に、現状のままでいくらになるかを査定してもらいましょう。

