相続した横浜の土地が奥まった場所にあり、不動産会社に相談しても「建て替えができないので売るのは難しい」と言われてしまった。坂や路地の多い横浜では、こうした悩みを抱える方が少なくありません。
結論から言うと、道路に面していない土地でも、再建築不可や訳あり不動産を扱う専門の買取業者なら買い取ってもらえる可能性は十分にあります。古家が残ったまま、境界があいまいなままでも相談できる業者は多く、売却をあきらめる必要はありません。
この記事では、横浜市の地図システムで接道状況を確かめる方法から、売却方法の選び方、買取価格の決まり方、業者選びと注意点、査定から引き渡しまでの流れまでを順に説明します。
横浜の道路に面していない土地でも買取してもらえる
道路に面していない土地は、一般の買主を探す仲介では売れにくい一方、再建築不可の土地を専門に扱う買取業者なら買い取ってもらえるケースが多くあります。まずは、売れにくいと言われる理由と、専門業者なら買い取れる理由を押さえておきましょう。
一般的な仲介では売れにくい理由
仲介は、不動産会社が広告を出して個人の買主を探す売り方です。道路に面していない土地がこの方法で売れにくいのは、個人の買主が抱える事情とかみ合わないためです。
土地を探している個人の多くは、そこに家を建てるつもりで購入します。ところが建築基準法の接道義務を満たしていない土地は、原則として新しく家を建てられません。家を建てたい人にとっては、そもそも検討の対象から外れてしまいます。
住宅ローンも壁になります。金融機関は土地と建物を担保にお金を貸すため、建て替えができず担保としての評価が低い土地には融資をしにくくなります。ローンが組めないと、現金で買える人しか買主になれません。
そのうえ、車が入れない、資材を運び込みにくいといった使い勝手の悪さもあります。こうした事情が重なり、仲介に出しても問い合わせがほとんど来ないまま売り出し期間だけが延びていく、という状態になりやすいのです。
再建築不可物件に対応する専門業者なら買取の可能性がある
再建築不可や訳あり不動産を専門に扱う買取業者は、個人の買主とは違う目線で土地を見ています。家を建てられないことを前提に、どうすれば価値を生み出せるかを考えたうえで買い取るためです。
たとえば、隣地の所有者と交渉して土地をまとめ、接道条件を満たす一つの敷地にしてから再販する方法があります。建築基準法43条の許可や認定を取って建築できるようにしたり、古家をリフォームして賃貸に出したり、資材置き場や駐車場として活用したりと、出口の選択肢を複数持っているのが専門業者の強みです。
業者が自社の資金で直接買い取るため、住宅ローンの審査を待つ必要もありません。価格と条件がまとまれば、売り出し期間を置かずに現金化まで進められます。
隣地との通行の取り決めがあいまい、古家に荷物が残っている、相続の手続きが途中、といった事情を抱えた土地にも慣れています。一般の不動産会社で断られた土地でも、こうした業者に改めて相談する価値は十分にあります。
道路に面していない土地とは?横浜で確認したい接道条件
「道路に面していない土地」は、見た目に道路がない土地だけを指すわけではありません。建築基準法では、建物を建てる敷地は幅4m以上の「道路」に2m以上接していなければならないと定めています(建築基準法(e-Gov法令検索) 第42条・第43条)。この条件を満たさない土地は、目の前に道があっても「道路に面していない土地」として扱われます。
ここでは代表的な3つのタイプと、再建築できるかどうかの考え方、横浜市で道路の種類を調べる方法を説明します。
道路に直接接していない「袋地・無道路地」
周りをほかの人の土地に囲まれ、道路にまったく接していない土地を「袋地」や「無道路地」と呼びます。袋地は民法で使われる言葉で、無道路地は相続税の土地評価などで使われる言葉ですが、指している状態はほぼ同じです。
袋地の所有者には、公道に出るために周りの土地を通行できる権利が民法210条で認められています。一般に囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)と呼ばれる権利です。ただし通れる場所や方法は、周りの土地の損害が最も少ないものに限られ(同211条)、通行させてもらう土地の所有者には償金を支払う必要があります(同212条)。
通行できることと、建物を建てられることは別の話です。人が歩いて通れる幅の通路があっても、建築基準法上の道路に2m以上接していなければ新しく家を建てることはできません。袋地は道路に面していない土地の中でも条件が厳しく、売却では買取業者への相談が中心になります。
道路に接する間口が2m未満の土地
道路には接しているものの、接している部分の長さ(間口)が2mに満たない土地も、接道義務を満たしません。横浜でよく見かけるのが、細い通路の奥に敷地が広がる旗竿地(路地状敷地)です。
旗竿地は、通路部分のいちばん狭い場所の幅で判断されます。道路との境目が2mあっても、途中で1.8mに狭まっていれば接道義務は満たしません。ブロック塀の位置や過去の測量の誤差で、実際の幅が書類と違うこともあります。
横浜市では、建築基準法に加えて横浜市建築基準条例第4条で、路地状の通路だけで道路に接する敷地の幅を上乗せして定めています。通路部分の長さが15mを超えて25m以下なら幅3m以上、25mを超えるなら幅4m以上が必要です。2mの間口があっても、通路が長い旗竿地は条例の基準を満たさない場合があります。昭和47年の条例改正の時点ですでにあった敷地に建てる2階以下の一戸建て住宅などには適用されない例外もあるため、旗竿地は条例の要件も含めて確認しておくと安心です。
通路や私道はあるが建築基準法上の道路に接していない土地
見た目には車も通れる道に面しているのに、その道が建築基準法上の「道路」ではないケースもあります。売主自身が気づいていないことも多く、査定の段階で初めてわかるタイプです。
建築基準法上の道路は、第42条で種類が決まっています。道路法による道路(いわゆる公道)、開発許可などで造られた道路、法律の適用時にすでにあった道、特定行政庁から位置の指定を受けた私道(位置指定道路)などが、幅4m以上の道路にあたります。幅4m未満でも、昔から建物が立ち並んでいて特定行政庁が指定した道は「2項道路」として道路とみなされます。
これらに当てはまらない道、たとえば個人の土地の一部を通路として使っているだけの道や、指定を受けていない私道は、建築基準法上の道路ではありません。こうした道にしか接していない土地は、見た目は普通の住宅地でも再建築不可になります。
道路に面していない土地は必ず再建築不可になる?
必ず再建築不可になるわけではありません。建築基準法第43条2項には、接道義務を満たさない敷地でも建物を建てられる例外が2つあります。
1つは「認定」(43条2項1号)です。幅4m以上の道(建築基準法上の道路ではないもの)に2m以上接していて、建物の用途や規模が基準に合っていれば、特定行政庁の認定で建築できます。もう1つは「許可」(同2号)で、敷地の周りに広い空き地があるなどの条件を満たし、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可します。
横浜市では、市の定める包括同意基準に当てはまる許可は、建築審査会での個別の審議を省いて手続きが進みます。事前相談から回答までの目安は2〜4週間です。窓口は横浜市建築局の市街地建築課です。
注意したいのは、許可や認定が建物ごとに出るものだという点です。今建っている家が許可を受けて建てられたものでも、建て替えるときには改めて申請が必要で、再び認められるとは限りません。過去に許可が出ている土地は買取業者にとって再建築の見込みを判断しやすい材料になるため、許可の通知書などが残っていれば査定時に見せましょう。
2項道路に面していて幅が足りないだけの土地なら、道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退(セットバック)させれば、建築できる場合があります。
横浜市の「i-マッピー」で道路種別を確認する方法
自分の土地が接している道が建築基準法上の道路かどうかは、横浜市の行政地図情報提供システム「i-マッピー(まちづくり地図情報)」で調べられます。横浜市は、建築基準法上の道路の種類を「指定道路図」としてまとめ、i-マッピー上で公開しています(横浜市「建築基準法上の道路種別について」)。
- 横浜市のホームページから i-マッピー(まちづくり地図情報)を開き、利用条件に同意する
- 地図の種類から「建築・造成等に関する制限」の中にある指定道路図を選ぶ
- 住所や地番で土地の場所を表示する
- 土地が接している道をクリックし、画面左の情報表示欄で「建築基準法道路種別(指定道路図)」を確認する
色の付いたラインが引かれていない道は、市が道路種別を判定していない道です。自分の土地が面している道にラインがなければ、建築基準法上の道路として扱われていない可能性が高いと考えてよいでしょう。位置指定道路の場合は、指定番号と指定年月日も表示されます。
i-マッピーの指定道路図は参考図で、法的な証明には使えません。道路の幅や境界の位置も示されていないため、売却を具体的に進める段階では、市庁舎の建築局建築指導課の窓口で正式に確認します。電話では回答してもらえないので、来庁が必要です。買取業者に査定を頼めば、こうした役所調査は業者側で行ってくれるのが一般的です。
【図解案】i-マッピーで指定道路図を表示し、道路をクリックして道路種別を確認する画面の流れ(スクリーンショット3枚)
横浜で道路に面していない土地を売却する4つの方法
道路に面していない土地の売り方は、主に4つあります。早く確実に手放したいなら専門業者の買取、隣の人が買ってくれそうなら隣地への売却が、現実的な選択肢になります。
| 方法 | 売れるまでの早さ | 価格の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 専門業者の買取 | 早い | 相場より低め | 早く確実に手放したい、古家や残置物をそのまま引き渡したい |
| 隣地の所有者に売却 | 相手次第 | 比較的高くなりやすい | 隣地の所有者と関係が良好で、隣にとって利点がある |
| 接道条件を改善してから売却 | 時間がかかる | 改善できれば高くなる | 隣地の協力が得られる、43条許可の見込みがある |
| 仲介で買主を探す | 長期化しやすい | 売れれば高めの場合も | 急がない、現金で買える個人や投資家に当てがある |
再建築不可・訳あり不動産の専門業者に買い取ってもらう
いちばん確実に手放せるのが、再建築不可や訳あり不動産を扱う専門業者への売却です。業者自身が買主になるため、買い手が見つかるのを待つ必要がありません。
古家が残っていても、家財道具が置きっぱなしでも、現況のまま引き取ってくれる業者が多くあります。解体や片付けの費用を先に用意しなくて済むのは、遠方に住んでいる相続人にとって特に助かる点です。売主が個人の場合、業者との直接取引なら仲介手数料もかかりません。
価格は一般の土地の相場より低くなりますが、そのぶん、売却後の不具合について売主の責任を免除する契約にしてくれる業者もあります。いくらで売れるかより、手間とリスクをかけずに確実に手放すことを優先したい方には、最もおすすめできる方法です。
隣接する土地の所有者に売却する
隣の土地の所有者は、道路に面していない土地にとって最も有力な買い手候補です。隣地と合わせれば敷地が広がり、接道条件を満たせるようになることもあるため、隣の人にとっては他の人より高い価値がある土地だからです。
隣地が道路に面していれば、合わせた土地は再建築できる一つの敷地になり、資産価値が上がります。庭や駐車場を広げたい、子どもの家を建てる場所がほしい、といった希望を隣の人が持っていれば、話がまとまりやすくなります。
ただし、個人どうしの売買は価格の決め方や契約書の作り方でもめることもあります。隣の人に声をかける前に、買取業者などで査定を受けて価格の目安を知っておくと、話を切り出しやすくなります。隣地との交渉そのものを代わりに進めてくれる買取業者もあります。
接道条件を改善してから売却する
接道条件を満たす状態にしてから売れば、一般の土地に近い価格で売れる可能性があります。改善の方法には、主に次のようなものがあります。
- 隣地の一部を買い取る、または借りて、道路に2m以上接する通路を確保する
- 2項道路に面している場合は、セットバックで道路の幅を確保する
- 私道の所有者と協力して、位置指定道路の指定を受ける
- 建築基準法43条2項の許可・認定を受けられるか、横浜市に事前相談する
どの方法も、隣地の所有者や私道の共有者の協力、測量、役所との協議が必要で、数か月から年単位の時間と費用がかかります。費用をかけても改善できるとは限らない点も考えておく必要があります。改善の見込みがあるかどうかは、再建築不可の扱いに慣れた業者に相談すると判断しやすくなります。
不動産仲介会社を通じて買主を探す
仲介で個人や投資家の買主を探す方法もあります。古家をリフォームして住みたい人や、賃貸用に安く物件を探している投資家に出会えれば、買取より高い価格で売れることもあります。
一方で、住宅ローンを使えない土地は買主が現金で買える人に限られ、売れるまでに時間がかかりやすいのが現実です。売り出しても反応がなく、数か月後に値下げを繰り返すケースも少なくありません。
仲介を選ぶなら、期間を決めて売り出し、それまでに売れなければ買取に切り替えるなど、あらかじめ次の手を決めておくと時間をむだにせずに済みます。
横浜の道路に面していない土地の買取価格の決まり方
道路に面していない土地の買取価格は、周辺の一般的な土地の相場から、再建築できないことによる使いにくさや、業者が負担する費用・リスクを差し引いて決まります。同じ横浜市内でも、接道の状態や古家の有無で価格は大きく変わります。
買取価格が安くなりやすい理由と価格を左右する条件
価格が安くなりやすいのは、買い取った業者がその土地を再び売るまでに、手間と費用と時間がかかるためです。隣地との交渉、測量、古家の解体やリフォーム、役所との協議などを業者が引き受けるぶん、買取価格はその費用を見込んだ金額になります。
税金の世界でも、道路に面していない土地は低く評価されます。国税庁の相続税の評価では、無道路地は接道義務を満たすのに必要な通路部分の価額を差し引き、最大で4割まで減額して評価する仕組みになっています(国税庁 タックスアンサーNo.4620)。これは税金の計算上の評価で、実際の買取価格とは別物ですが、接道できない土地の価値が下がることを示す一つの目安になります。
実際の買取価格を左右するのは、主に次のような条件です。
| 条件 | 価格が付きやすい | 価格が下がりやすい |
|---|---|---|
| 再建築の見込み | 43条許可・認定の見込みがある、過去に許可を受けている | 許可の見込みがない |
| 道路までの通行 | 通路があり、通行の取り決めが書面になっている | 他人の土地を通るが取り決めがない |
| 隣地との関係 | 隣地が道路に面していて、合わせて使える可能性がある | 周りの土地も袋地で、まとめても接道しない |
| 古家の状態 | リフォームすれば住める、賃貸に出せる | 傷みが激しく解体が必要 |
| 地形 | 平坦で、車が近くまで入れる | 階段や急な坂の上にある、高いがけに面している |
| 境界・権利 | 境界が確定している、登記が整っている | 境界がわからない、相続登記が済んでいない |
横浜では、高低差のある土地も価格に影響します。横浜市建築基準条例第3条では、高さ3mを超えるがけの下端から、がけの高さの2倍以内に建物を建てる場合、擁壁などを設ける必要があります。擁壁の工事費は高額になりやすく、がけに近い土地はその分だけ評価が下がります。
少しでも高く買い取ってもらうためのポイント
高く売るために一番効くのは、業者が抱える「わからないこと」を減らすことです。わからない点が多いほど、業者はリスクを見込んで価格を下げます。
手元にある資料は、査定のときにまとめて渡しましょう。登記事項証明書、公図、地積測量図、固定資産税の納税通知書のほか、建築確認や43条許可の通知書、隣地との通行や掘削の承諾書、過去の測量図などがあれば、査定の精度が上がり価格にも反映されやすくなります。
複数の業者に査定を頼むのも有効です。再建築不可の土地は業者ごとに得意な出口が違い、隣地との交渉に強い業者、古家のリフォーム再販に強い業者、駐車場などの土地活用に強い業者で、同じ土地でも評価が変わります。2〜3社の査定を比べると、その土地に合った業者が見えてきます。
隣地の所有者がどんな人か、過去に土地の売買の話があったかなど、知っている情報も伝えておきましょう。隣地とまとめて使える見込みがあれば、それだけで価格が上がることもあります。
道路に面していない土地の買取業者を横浜で選ぶポイント
道路に面していない土地を任せる業者は、再建築不可の土地を扱った経験があり、現況のまま買い取れて、費用の負担がはっきりしているところを選ぶと安心です。どれも査定の段階で確かめられます。
再建築不可・無道路地の買取実績があるか
最初に確かめたいのは、再建築不可や無道路地を実際に買い取った経験があるかどうかです。一般の土地しか扱っていない会社では、接道条件の調査や隣地との交渉のノウハウがなく、査定を断られたり、極端に低い価格を出されたりしがちです。
実績は、業者のホームページの買取事例で確かめられます。横浜市内の事例が載っていれば、横浜市の43条許可の運用や、坂・がけの多い地域の事情にも慣れていると考えられます。
査定の場では、「この土地はどうやって活用する予定ですか」と聞いてみましょう。隣地との交渉、43条許可の申請、リフォームして賃貸など、具体的な出口を説明できる業者は、価格の根拠もしっかりしています。
古家付き・現況のままで買取できるか
道路に面していない土地には、古い空き家が残っていることがよくあります。こうした土地は、古家付きのまま、家財道具も残したままの「現況」で買い取ってもらえるかが大切です。
再建築不可の土地では、古家を壊すと二度と建物を建てられなくなることがあります。今ある建物はリフォームして使えるため、古家そのものに価値がある場合も少なくありません。現況での買取に対応している業者なら、解体するかどうかも含めて業者側で判断してくれます。
家財の片付けを売主がしなくてよいかどうかも、査定のときに確かめておきましょう。遠方に住んでいて横浜まで何度も通えない方は、片付けや鍵の受け渡しまで任せられる業者を選ぶと負担が軽くなります。
測量・残置物撤去などの費用負担が明確か
買取価格だけでなく、売主が負担する費用がいくらになるかを確かめましょう。提示された価格が高くても、測量費や残置物の撤去費、解体費を売主の負担にされると、手元に残るお金は少なくなります。
確かめておきたい費用は、主に次のとおりです。
- 境界確定のための測量費
- 家財や残置物の撤去費
- 古家の解体費
- 抵当権の抹消や相続登記などの登記費用
- 仲介手数料(業者が直接買い取る場合は通常かかりません)
見積もりでは、これらの費用を誰が負担するかを書面で示してもらうと、あとで食い違いが起きません。契約の直前になって「測量の結果、価格を下げたい」と言われることがないよう、減額の条件があるかどうかも合わせて聞いておくと安心です。
横浜で道路に面していない土地を売却する際の注意点
道路に面していない土地の売却では、通行や境界など隣地との関係と、売却後の責任の範囲が、トラブルになりやすいポイントです。先に確認しておけば、査定や契約がスムーズに進みます。
隣地の通行権や私道の通行・掘削承諾を確認する
道路に出るためにほかの人の土地や私道を通っている場合は、通行がどんな根拠で認められているかを確かめておきましょう。買主にとっては、引き継いだあとも今までどおり通れるかどうかが最大の関心事だからです。
袋地であれば民法210条の通行権が認められますが、その場合でも通れる場所や幅、償金の有無は話し合いで決めることになります。昔からの慣習で通らせてもらっているだけで、書面の取り決めがないケースも多くあります。
私道の場合は、通行だけでなく掘削の承諾も重要です。水道管やガス管を引き込んだり交換したりするには、私道を掘る必要があり、私道の所有者の承諾を求められるのが一般的です。民法213条の2では、電気・ガス・水道などを引くために他人の土地に設備を設置する権利が定められていますが、事前に所有者へ目的や場所を通知する必要があり、実務では承諾書を取っておくのが安心です。
通行や掘削の承諾書がすでにあれば、査定の際に必ず業者に渡しましょう。ない場合も、専門の買取業者なら取り付けの交渉を引き受けたうえで買い取ってくれることがあります。
土地の境界が不明確な場合は事前に相談する
境界標がない、隣地との境目がはっきりしないという土地は、横浜の古い住宅地では珍しくありません。一般の売買では、売主が測量して境界を確定させてから引き渡すのが基本で、測量や隣地所有者の立ち会いに時間と費用がかかります。
道路に面していない土地は隣接する土地が多く、立ち会いが必要な相手が増えがちです。隣地の所有者が亡くなっていたり、連絡が取れなかったりすると、確定までにさらに時間がかかります。
境界が不明確なまま売りたい場合は、査定の最初の段階でそのことを伝えましょう。境界未確定のままでも買い取る業者や、測量を業者側の負担で行う業者もあります。後から判明して価格が下がるより、最初に伝えたほうが条件をまとめやすくなります。
古家の解体費用を自己負担する前に査定を受ける
古家が建っている土地を売るとき、「更地にしたほうが売れやすい」と考えて先に解体してしまうのは避けましょう。道路に面していない土地では、解体によってかえって価値が下がることがあります。
再建築不可の土地では、今ある建物を壊すと新しい建物を建てられません。古家が残っていればリフォームして住む、貸すといった使い道がありますが、更地にするとその選択肢がなくなります。車両が入れない土地では重機を使えず手作業での解体になり、解体費が一般の土地より高くなりやすい点も見逃せません。
住宅が建っている土地は固定資産税の住宅用地の特例を受けられますが、解体すると特例が外れ、翌年度から税額が上がることもあります。解体するかどうかは、買取業者の査定を受けて、古家付きのままの価格を聞いてから判断しても遅くありません。
売却後の契約不適合責任や引き渡し条件を確認する
売買契約を結ぶときは、売却後に見つかった不具合の責任を売主がどこまで負うかを確認しましょう。民法では、引き渡した土地や建物が契約の内容に合っていなかった場合、買主は修補や代金の減額などを請求でき(民法562条ほか)、不具合を知ってから1年以内に売主へ通知すれば権利を保てます(同566条)。
古家付きの土地では、雨漏りやシロアリ、地中の埋設物など、売主自身も知らない不具合が後から見つかることがあります。個人の売主が業者に売る場合は、この責任を負わないとする特約(免責特約)を付けることができ、専門の買取業者の多くは免責を前提に買い取ってくれます。
ただし、売主が知っていたのに伝えなかった不具合については、特約があっても責任を免れません(同572条)。雨漏りや境界のもめごとなど、知っていることは隠さず伝えることが、自分を守ることにつながります。
引き渡しの条件も確かめておきたいポイントです。残置物を残したまま引き渡してよいか、引き渡しの時期はいつか、代金はいつ支払われるかを契約書で確認しておけば、引き渡し直前になって慌てずに済みます。
横浜で道路に面していない土地を買い取ってもらうまでの流れ
道路に面していない土地の買取は、土地の状況を整理し、専門業者に査定を頼み、条件を比べて契約するという4つのステップで進みます。仲介と違って買主を探す期間がないため、条件がまとまれば短い期間で現金化まで進められます。
STEP1:土地の所在地・面積・接道状況を確認する
最初に、売りたい土地の基本情報を手元にそろえます。固定資産税の納税通知書を見れば、所在地(地番)と面積がわかります。法務局で登記事項証明書や公図を取れば、名義人や周りの土地との位置関係も確かめられます。
接道状況は、i-マッピーの指定道路図で、土地が接している道が建築基準法上の道路かどうかを見ておくと、業者との話が早く進みます。道路に接している部分の長さや、ほかの人の土地を通って出入りしているかどうかも、わかる範囲でメモしておきましょう。
すべてを正確に調べる必要はありません。わからない部分は、査定を頼んだ業者が役所調査や現地調査で確かめてくれます。
STEP2:訳あり不動産に対応する買取業者へ査定を依頼する
次に、再建築不可や訳あり不動産を扱う買取業者へ査定を頼みます。多くの業者はホームページの査定フォームや電話で受け付けていて、所在地と土地の状況を伝えれば、まず概算の価格を出してくれます。
依頼の際は、道路に面していないこと、古家や残置物の有無、相続登記が済んでいるか、境界がはっきりしているかなど、土地の事情を最初に伝えておきましょう。事情を伝えずに出た査定額は、現地調査の後で大きく下がることがあります。
概算の後は、業者が現地調査と役所調査を行い、正式な買取価格を提示します。遠方に住んでいる場合も、現地調査は立ち会いなしで進められることが多くあります。
STEP3:複数社の査定価格・費用・契約条件を比較する
査定が出そろったら、買取価格だけでなく、売主が負担する費用と契約条件を合わせて比べます。比べる項目は、次のとおりです。
- 買取価格と、そこから差し引かれる費用(測量・残置物撤去・解体・登記)
- 契約不適合責任を免除してもらえるか
- 境界未確定や残置物ありのまま引き渡せるか
- 決済(代金の受け取り)までの期間
- 契約後に価格が下がる条件があるか
手元に残る金額は、買取価格から売主負担の費用を引いた額です。価格が少し高くても費用の負担が大きい業者より、価格はやや低くても現況のまま引き取ってくれる業者のほうが、結果的に手取りが多くなることもあります。
STEP4:売買契約を結び、決済・引き渡しを行う
依頼する業者が決まったら、売買契約を結びます。契約書では、売買代金、手付金の額、引き渡しの時期、契約不適合責任の扱い、残置物の扱いなどを確認し、査定時の説明と違う点があれば署名の前に質問しましょう。
決済の日には、買主である業者から残りの代金が支払われ、同時に所有権移転の登記を司法書士が手続きします。売主は、本人確認書類、実印、印鑑証明書、権利証(登記識別情報)などを用意します。抵当権が残っている場合は、受け取った代金で返済して抹消します。
代金を受け取り、鍵や関係書類を渡せば引き渡しは完了です。売却で利益が出た場合は、翌年に譲渡所得の確定申告が必要になるため、売買契約書や取得時の資料は保管しておきましょう。
横浜の道路に面していない土地の買取に関するよくある質問
道路に面していない土地の買取について、よく寄せられる質問にお答えします。
他人の土地を通らないと出入りできない場合も売れる?
売れます。他人の土地を通らないと公道に出られない袋地でも、再建築不可を扱う専門の買取業者なら買い取ってもらえる可能性は十分にあります。袋地の所有者には民法210条で周りの土地を通行する権利が認められており、この権利は土地の新しい所有者にも引き継がれます。
価格に影響するのは、通行の取り決めがどこまで明確になっているかです。通行の承諾書や通行料の取り決めがあれば、査定の際に業者に見せましょう。取り決めがなくても、隣地との交渉を含めて引き受けてくれる業者もあります。
相続した土地で名義変更が済んでいなくても査定できる?
査定は名義変更の前でも受けられます。ただし売買契約や引き渡しの時点では、相続登記を済ませて相続人の名義になっている必要があります。相続人が複数いる場合は、誰が相続するか、共有のまま全員で売るかを話し合っておきましょう。
なお、相続登記は令和6年4月1日から義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。登記の手続きを司法書士につないでくれる買取業者もあるため、査定のときに相談してみましょう。
まとめ|横浜の道路に面していない土地は専門業者への買取相談から始めよう
横浜の道路に面していない土地は、一般の仲介では買主が見つかりにくい一方、再建築不可や訳あり不動産を扱う専門業者なら買い取ってもらえる可能性が十分にあります。
- 接道義務を満たさない土地は、袋地、間口2m未満の土地、建築基準法上の道路でない道にだけ接する土地の3タイプ
- 接している道の種類は、横浜市のi-マッピーの指定道路図で調べられる
- 43条許可・認定で建てられる場合もあるが、許可は建物ごとで、建て替えのたびに申請が必要
- 古家は先に解体せず、現況のまま査定を受ける
- 買取価格だけでなく、測量・撤去・解体費の負担と、契約不適合責任の扱いを比べる
迷ったら、まずは再建築不可の買取実績がある業者2〜3社に、現況のままで査定を頼んでみましょう。土地の事情を最初に伝えておけば、どんな売り方が合っているかも含めて提案してもらえます。

