横浜の崖の上の家は売却できる?売れにくい理由と現状のまま売る方法

横浜の崖の上の家は売却できる?売れにくい理由と現状のまま売る方法

親から相続した実家や長年住んだ家が、横浜の崖の上に建っている。売ろうとしたら不動産会社に難しい顔をされた、擁壁が古くて工事に何百万円もかかると聞いた、売った後に崩れたら責任を問われるのでは——そんな不安から、手続きに踏み出せずにいる方は少なくありません。

結論から言うと、崖の上の家でも、擁壁の状態や再建築の可否によっては、工事をせずに現状のまま売却できる可能性があります。一般の買い手が見つかりにくい場合でも、崖地や擁壁のある物件を扱い慣れた買取業者に売る道があります。

この記事では、崖の上の家が売れにくい理由と、横浜市のがけ条例や擁壁の記録の調べ方、仲介と買取の違い、擁壁工事をするかどうかの判断基準、横浜市の助成金や相談窓口を順に説明します。売却までの流れと、査定の前にそろえたい資料のチェックリストも載せています。

目次

横浜の崖の上の家は売却できる?

横浜の崖の上の家は、売却できる可能性が十分にあります。横浜市は市域の約6割が丘陵地といわれ、崖や擁壁の上に建つ住宅は珍しくありません。崖の上という条件だけで、買い手がまったくつかないわけではないのです。

売れるかどうかを左右するのは、主に擁壁の状態と、その土地に家を建て直せるかどうかの2点です。擁壁が許可や確認を受けて造られ、記録が残っていれば、平坦な土地に近い条件で売り出せることもあります。擁壁が古くても、建て替えの際に基礎を深くするなどの方法で建築できる土地なら、買い手の選択肢は広がります。

一般の買い手が見つかりにくい物件でも、崖地や擁壁のある物件を専門に扱う買取業者なら、擁壁工事や解体をせずにそのまま買い取ってもらえる場合があります。業者は買い取った後に自社で調査や工事を行い、再販や活用をするため、個人の買い手が敬遠する物件でも値段をつけられるのです。

ただし、崖の高さや擁壁の傷み具合によっては、買取でも価格が大きく下がったり、買い手が見つからなかったりするケースもあります。工事費用が土地の価値を上回るような物件は、業者にとっても採算が合わないためです。自分の家がどちらに近いかは、この後の「売れにくい理由」と「確認したい法律・規制」を読むと見当がつきます。

横浜の崖の上の家が売れにくい理由

崖の上の家が売れにくいのは、買い手が「安全に住めるか」「将来建て替えられるか」「毎日暮らしやすいか」の3点で不安を感じるからです。どれも物件の欠点そのものより、買い手が判断材料を持てないことから生まれる不安です。売主が資料をそろえて説明できれば、和らげられる部分もあります。

崖崩れや土砂災害のリスクを買い手が敬遠する

買い手が最初に気にするのは、大雨や地震のときに崖や擁壁が崩れないかという点です。横浜市内には土砂災害警戒区域が2,000以上指定されており、ニュースで崖崩れを目にするたびに、崖の近くの物件を避ける人は少なくありません。

関東ローム層は水を含むと崩れやすい土質で、横浜市は過去の台風や豪雨で崖崩れの被害を受けてきました。崖地の維持管理は土地の所有者や管理者に責任があると横浜市も説明しており、買い手にとっては「買った後に自分が管理責任を負う」ことになります。

住宅ローンの審査も影響します。担保としての評価が低く見られたり、建て替えの見通しを確認されたりして、融資額が伸びないことがあります。ローンを使う一般の買い手ほど購入を見送りやすく、結果として買い手の数が絞られます。

擁壁の安全性が確認できず、建て替えにも制限がかかる場合がある

擁壁が安全かどうかは、見た目だけでは判断できません。横浜市も、擁壁が安全かどうかを市が確認・判断することはできないとしています。許可や確認を受けて造られた記録がなく、古い形式の擁壁であれば、買い手は専門家の調査費や造り直しの費用を見込まざるを得ません。

横浜市の点検資料では、コンクリートブロック積みや空石積み(石を積んだだけで裏込めにコンクリートを使わないもの)の擁壁は、表面を保護するだけで擁壁としての機能を持たないものとされています。古い擁壁の上にブロックを積み足した「増し積み擁壁」や2段擁壁は、構造上の問題があるものに分類され、増し積み擁壁は法令上認められていません。

こうした擁壁のある土地は、将来建て替えるときに、がけ条例により擁壁の造り直しや特別な基礎を求められることがあります。買い手から見ると「今は住めても、建て替えに想定外の費用がかかるかもしれない土地」になるため、購入をためらいます。制度の中身は次のセクションで説明します。

坂道や階段が多く生活しにくい

崖の上の家は、道路から玄関まで長い階段を上る、最寄り駅や商店街から急な坂が続く、といった立地が多くなります。若い世帯でも子育てや買い物の負担を気にしますし、高齢の世帯は将来の上り下りを心配して避ける傾向があります。

車が家の前まで入れない土地では、駐車場を別に借りる必要があり、引っ越しやリフォームのときも資材の運搬に手間がかかります。建て替え工事では重機が入れず手作業が増えるため、建築費が平坦地より高くなりやすい点も、買い手が敬遠する理由です。

一方で、眺望や日当たり、風通しのよさを気に入って崖の上を選ぶ人もいます。生活のしにくさは価格に反映されますが、買い手がゼロになる理由にはなりません。工事費用がどのくらい売却に響くかは、後の「擁壁工事や解体をせずに売却できる?」で説明します。

横浜の崖の上の家を売る前に確認したい法律・規制

崖の上の家の売却に影響する制度は、横浜市のがけ条例、土砂災害防止法、盛土規制法、急傾斜地法の4つが中心です。どれも売れるかどうかを直接決めるものではなく、「建て替えのときに何が求められるか」「買い手に何を説明する必要があるか」を決めるものです。多くは横浜市のウェブ地図や市庁舎の窓口で無料で調べられます。

横浜市のがけ条例による建築制限

横浜市のがけ条例は、横浜市建築基準条例の第3条のことです。高さ3メートルを超え、主な部分の勾配が30度を超える崖があるとき、崖の下端から崖の高さの2倍以内の位置に建築や造成をする場合は、擁壁または防土堤を設けなければならないと定めています。市の解説図では、崖の上側も同じく崖の高さの2倍の範囲が規制の対象として示されています。

たとえば高さ4メートルの崖なら、崖からおよそ8メートル以内に家を建てるときに規制がかかります。自然の崖か擁壁で造られた崖かは問いません。がけ条例の基準は自治体ごとに違い、高さ2メートル超を対象にする自治体もあります。ほかの地域の情報をそのまま当てはめず、横浜市の条例で判断してください。

崖の上に建てる場合、擁壁を設けるのが原則です。ただし、建物の基礎を崖の崩れる範囲より深く入れ、基礎の重さが崖に影響しないようにすれば、擁壁を造らずに建てられることがあります。崖の上で建てる場合は、雨水や汚水が崖の斜面に流れたり、擁壁の裏にしみ込んだりしないよう、排水設備も必要です。

この条例は、今建っている家にさかのぼって適用されるものではありません。影響が出るのは建て替えや増築、敷地の造成をするときです。そのため売却の場面では、「買い手が建て替えるときに、擁壁の造り直しや深い基礎が必要になるか」が価格に響きます。

土砂災害警戒区域・特別警戒区域、盛土規制法の規制区域に該当するか

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は、土砂災害のおそれがある区域として神奈川県が指定するものです。横浜市内では警戒区域が2,374区域、そのうち建物が壊れるおそれのある特別警戒区域(レッドゾーン)が2,057区域指定されています。区域の位置は、横浜市の「わいわい防災マップ」で住所から確認できます。

警戒区域に入っていると、売買のときに不動産会社が重要事項として買い手に説明することが法律で義務付けられています。特別警戒区域では、居室のある建物を建てるときに、土砂の衝撃に耐えられる構造かどうかを建築確認で審査されます。壁を鉄筋コンクリート造にするなどの対策が必要になり、建築費が上がるため、価格への影響は警戒区域より大きくなります。制度の詳しい内容は神奈川県の土砂災害防止法の解説で確認できます。

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)は、2023年5月26日に施行された法律です。横浜市は2025年4月1日に市内全域を「宅地造成等工事規制区域」に指定しました。横浜市内の土地は、すべてこの規制区域に該当します。一定の高さを超える切土・盛土や擁壁の工事には市の許可が必要になり、買い手が擁壁を造り直すときもこの手続きを経ることになります。

崖の高さが5メートル以上ある場所では、神奈川県が「急傾斜地崩壊危険区域」を指定していることもあります。この区域内では、切土や盛土、木の伐採などに県の許可が必要です。該当するかどうかは、神奈川県の横浜川崎治水事務所で確認できます。

擁壁の検査済証・工事履歴の有無

擁壁の安全性を説明するうえで最も効く資料は、その擁壁が許可や確認を受けて造られ、完了検査を受けた記録です。高さ2メートルを超える擁壁は、建築基準法の確認か、宅地造成の許可を受けて造る決まりになっています。

手元に検査済証がない場合でも、市に記録が残っていることがあります。開発許可、宅地造成の工事許可、擁壁の確認を受けて造られた擁壁は、市庁舎2階の「よこはま建築情報センター」で手続きの記録を確認できます。電話での問い合わせには応じていないため、地番がわかる資料を持って窓口に行きます。

書面で残したい場合は、次の証明書を取得できます。

証明書わかること手数料
宅地造成工事許可申請台帳記載証明書宅地造成の許可番号、宅地面積など1件300円
建築確認申請台帳記載証明書確認番号、検査済証の発行の有無など1件300円

記録が見つからなくても、すぐに「危険な擁壁」と決まるわけではありません。逆に、検査を受けた擁壁でも、その後の劣化や増し積みなどの改変で安全といえなくなっている場合があると横浜市も注意しています。記録の有無とあわせて、ひび割れ、ふくらみ、傾き、水抜き穴の詰まりなど、今の状態を写真で残しておくと査定がスムーズです。

再建築できる土地か確認する方法

再建築できるかどうかは、道路の条件と崖の条件の2つで決まります。家を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接している必要があります。崖の上の家は階段や通路でしか道路につながっていないことがあり、その通路が建築基準法上の道路でなければ、崖の条件以前に建て替えができません。

道路の種類は、横浜市のウェブ地図「iマッピー」の「建築基準法道路種別」で調べられます。同じiマッピーで、用途地域や宅地造成工事規制区域も確認できます。

崖の条件は、がけ条例の範囲に建物がかかるかどうか、かかる場合に次のどれかで対応できるかで判断します。

  • 擁壁が許可・確認を受けたもので、安全性が確認できる
  • 基礎を深くするなど、崖に影響しない建て方ができる
  • 土質試験と安定計算で、崖が安全だと確かめられる
  • 建物を崖から離して配置できる

どの方法が使えるかは、崖の高さや土質、敷地の広さで変わり、最終的には建築士や不動産会社が現地を見て判断します。自分で調べた道路の種類と擁壁の記録を持って相談すると、査定の精度が上がります。建築の基準そのものは横浜市建築局の建築指導課、宅地造成の許可については宅地審査課が窓口です。

横浜の崖の上の家を売却する3つの方法

崖の上の家の売り方は、不動産会社の仲介で一般の買い手を探す、崖地に対応した買取業者に売る、隣の土地の所有者に買ってもらう、の3つです。高く売れる可能性があるのは仲介、早く確実に手放せるのは買取、条件が合えば両方のよさを得られるのが隣地への売却です。

比較項目仲介(一般の買い手)崖地に対応した買取業者
売却価格相場に近い価格を狙える仲介より低くなりやすい
売却までの期間買い手が見つかるまで読めない査定から引渡しまで短い
擁壁・建物の状態調査や補修を求められることがある現状のままで相談できる
内覧・広告内覧対応や近所に知られる可能性あり内覧は業者の現地確認のみ
仲介手数料必要業者が直接買う場合は不要
契約不適合責任売主が負うのが一般的免除する特約を結べることが多い
住宅ローン審査の影響買い手の審査が通らず白紙になることがある影響を受けない

一般の不動産会社に仲介を依頼する

仲介は、不動産会社に買い手を探してもらう方法です。買い手が自分で住むために買うため、買取より高い価格がつきやすく、手取りを優先したい人に向いています。

仲介が向いているのは、擁壁の記録が残っている、道路に面していて車も入れる、駅や生活施設に近いなど、崖の上であること以外の条件がよい家です。眺望や日当たりを評価する買い手と出会えれば、相場に近い価格で売れることもあります。

注意したいのは、売り出してから時間がかかることです。崖の上の家は内覧の段階で見送られたり、買い手の住宅ローン審査が通らずに契約が白紙になったりすることがあります。売れ残る期間が長くなると値下げを重ねることになり、結局は買取と大きく変わらない価格になるケースもあります。仲介を選ぶ場合も、崖地や擁壁のある物件の取引実績がある会社を選ぶと、買い手への説明や価格設定で失敗しにくくなります。

崖地・擁壁のある物件に対応した買取業者へ売却する

買取は、不動産会社が自ら買い手となって物件を買い取る方法です。崖地に対応した買取業者は、擁壁の調査や造り直し、建て替えの計画を自社で組み立てられるため、個人の買い手がためらう物件でも価格を提示できます。

買取の大きな利点は、古い擁壁や古家があっても現状のまま売れること、売却時期の見通しが立つことです。内覧や広告を出さずに済むので、近所に知られずに手放したい人にも合っています。業者が直接買う場合は仲介手数料もかかりません。

契約不適合責任を免除する特約を結べることも、崖の上の家では大きな安心材料です。不動産会社が売主になる取引では、宅地建物取引業法で買主に不利な特約が制限されますが、個人が売主で業者が買主の取引にはこの制限がかかりません。売った後に擁壁の不具合が見つかっても、修補や損害賠償を求められない契約にしやすくなります。ただし、売主が知っていながら伝えなかった不具合は、特約があっても責任を免れません(民法第572条)。

買取価格は、業者が負担する調査費・工事費・再販までの期間を差し引いて決まるため、仲介で売れた場合より低くなります。崖地は業者ごとに工事のノウハウや採算の考え方が違い、提示額の差が開きやすいので、2〜3社の査定を比べると妥当な価格が見えてきます。

隣接する土地の所有者に購入を相談する

隣の土地の所有者は、崖の上の家にとって最も有力な買い手候補になることがあります。隣地を合わせると敷地が広がって道路への出入りがよくなる、擁壁を一体で管理できる、子世帯の住まいにできるなど、隣地の所有者には第三者にない利点があるためです。

特に、擁壁が両方の敷地にまたがっている、崖下の家が崖上の擁壁の安全を心配している、といった関係にある場合は、話がまとまりやすくなります。崖下の所有者にとっては、崖上の土地を手に入れることで擁壁の管理を自分で決められるようになるからです。

隣人との直接の交渉は、価格や境界の話で関係がこじれるおそれがあります。打診は不動産会社を通して行い、契約書の作成や登記も専門家に任せるほうが安全です。隣地の所有者が購入を望まない場合でも、買取業者が隣地とまとめて活用する計画を立てることがあるため、査定の際に隣地の状況を伝えておくと検討材料になります。

崖の上の家は擁壁工事や解体をせずに売却できる?

崖の上の家は、擁壁工事や解体をしなくても売却できる場合が多くあります。売る前の工事は、かけた費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限らず、手元の資金を減らしたうえに売却が遅れることもあるため、まずは現状のままの査定額を確かめるのが先です。

古い擁壁や古家があっても現状のまま売却できる場合がある

崖地に対応した買取業者は、古い擁壁や古家があることを前提に価格を出します。擁壁の造り直しや解体を業者の側で行い、建て替えや再販まで計画するため、売主が先に手を入れる必要はありません。仲介でも、「擁壁の状態は現況のまま」「建物は古家付き土地として売る」という条件で売り出すことはできます。

擁壁の造り直しは、崖の高さや長さ、重機が入れるかどうかで費用が大きく変わり、規模によっては数百万円から1,000万円を超えることもあります。高さ2メートルを超える擁壁は建築基準法の確認や盛土規制法の許可が必要で、設計から完了まで時間もかかります。この費用と期間を売主が負担するより、工事のノウハウを持つ業者に任せたほうが、手取りが残りやすい物件は少なくありません。

ただし、現状のまま売ったからといって、安全上の問題や法的な責任がすべてなくなるわけではありません。擁壁にひび割れや傾きがあるのを知っていて伝えなかった場合は、契約で責任を免除していても、売主の責任が残ります。引渡しまでの間に擁壁が崩れて隣家や通行人に被害が出れば、所有者として責任を問われる可能性もあります。売却活動中も、明らかに危険な状態であれば応急の対策を検討してください。

売却前に擁壁工事をするべきか判断するポイント

売却前の擁壁工事は、「工事費用」と「工事によって上がる売却価格」を比べて判断します。工事費が価格の上昇幅を上回るなら、現状のまま売るほうが手取りは多くなります。判断の目安は次のとおりです。

状況おすすめの判断
擁壁が古く、造り直しに大きな費用がかかる工事をせず、現状のまま買取の査定を受ける
ひび割れの補修や水抜き穴の清掃など、小さな補修で状態が改善する費用が小さければ補修してから仲介で売り出す選択肢もある
擁壁に崩れそうな変形があり、隣家や道路に被害が出るおそれがある売却の方法とは別に、早めに専門家に相談して安全対策を優先する
立地がよく、擁壁さえ直せば一般の買い手がつきそう工事費の見積もりと、工事後の査定額を両方取って比べる

工事をするかどうか迷ったら、先に買取業者と仲介の会社の両方に「現状のまま」の査定を依頼し、そのうえで工事費の見積もりを取ると、比べる材料がそろいます。

横浜市には、崖地の所有者が行う工事への助成金があります。売却前に工事をするなら、使えるかどうかを必ず確認してください。

制度対象になる工事助成額
崖地防災対策工事助成金擁壁の築造替え、切土・盛土など、建築基準法や盛土規制法の手続きが必要な工事工事費の3分の1、工法ごとの単価で計算した額(擁壁は1㎡あたり11万円)、上限400万円のうち最も少ない額
崖地減災対策工事助成金法面の保護や既存擁壁の補強など、手続きが不要な工事工事費の2分の1、工法ごとの単価で計算した額、上限100万円または50万円(工法による)のうち最も少ない額

対象になるのは、高さ2メートルを超え、傾斜が30度以上で、住宅や道路に被害が及ぶおそれのある崖地です。申請の前に横浜市建築局のがけ防災担当と事前に調整する必要があり、交付決定の前に工事の契約や着工をすると対象外になります。工事は市内に本社がある業者と契約し、交付決定を受けた年度の2月末までに完了報告を出すことも条件です。要件や受付期間は年度ごとに見直されるため、横浜市の崖地防災対策工事助成金のページで最新の内容を確かめてください。

助成金を使うと工事費の負担は軽くなりますが、事前調整から完了まで年度をまたぐスケジュールになるため、売却の時期は後ろにずれます。早く手放したい人は、工事をせずに売る方法と比べてから決めるのがおすすめです。

崖地の状態について相談したいときは、横浜市建築局のがけ防災担当(045-671-2948)が窓口です。地盤品質判定士会神奈川支部(メールでの簡易相談は無料)や、横浜市建築士事務所協会の予約制の無料相談窓口など、市が紹介する専門家相談も利用できます。

横浜の崖の上の家はいくらで売れる?売却価格を左右する条件

崖の上の家の売却価格は、「平坦な土地より何割安い」と一律には決まりません。同じ横浜市内でも、崖の高さや擁壁の状態、道路との関係、使える土地の広さで価格は大きく変わります。ここでは、どの条件が価格を下げる要因になるかを整理します。査定を受ける前に自分の家の条件を把握しておくと、提示された価格が妥当かどうか判断しやすくなります。

崖の高さ・傾斜・擁壁の状態

崖が高く、傾斜が急なほど、価格は下がりやすくなります。崖が高ければ擁壁も大きくなり、造り直すときの費用と工期が増えるためです。がけ条例の対象になる高さ3メートルを超えるかどうかは、一つの境目になります。

擁壁の状態は、価格への影響が最も大きい条件です。許可や確認を受けて造られ、検査の記録が残っている擁壁なら、買い手は造り直しの費用を見込む必要がなく、価格への影響は小さく抑えられます。反対に、増し積み擁壁や大谷石・玉石を積んだ擁壁のように現在の基準に合わない擁壁は、造り直しを前提に評価されるため、その費用分が価格から差し引かれます。

擁壁の記録はないものの、状態がよく、ひび割れや傾きが見られない場合は、その中間です。査定の際に写真や点検の結果を示せると、業者が見込む工事費を抑えられることがあります。

道路との高低差や車の出入りのしやすさ

道路と敷地の高低差が大きく、玄関まで長い階段を上る家は、価格が下がりやすくなります。毎日の上り下りの負担に加え、建て替えのときに重機や資材を運び込みにくく、建築費が高くなるからです。

車が敷地まで入れるかどうかも重要です。敷地内に駐車場を確保できる家は、横浜の丘陵地では評価が上がりやすく、反対に車が近くまで入れない家は、駐車場を別に借りる手間と費用を買い手が考えるため、価格に響きます。

接している通路が建築基準法上の道路でない場合は、再建築ができないおそれがあり、価格は大きく下がります。この場合は一般の買い手がつきにくく、再建築不可の物件を扱う買取業者が主な売却先になります。

利用可能な土地面積と立地・周辺の取引相場

登記簿の面積が広くても、崖の斜面部分は家を建てる場所として使えません。価格を決めるのは、斜面を除いて実際に建物を建てられる平らな部分の広さです。がけ条例で崖から離して建てる必要がある場合は、建てられる範囲がさらに狭くなります。

国税庁も、相続税の土地評価で、斜面部分を含む土地を「がけ地等を有する宅地」として、斜面の割合と向きに応じて評価を下げる仕組みを設けています(国税庁「がけ地等を有する宅地の評価」)。売買の価格もこれと同じ考え方で、斜面の割合が大きいほど低くなります。

一方で、周辺の取引相場が高い地域なら、崖の上という条件で下がった分を差し引いても、まとまった価格になります。横浜駅やみなとみらいへの通勤に便利な区、人気の住宅地の近くであれば、崖の上でも買い手や買取業者の関心は集まりやすくなります。周辺の相場は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で実際の取引価格を検索して確かめられます。

横浜の崖の上の家を売却するまでの流れ

崖の上の家の売却は、資料集め、査定の依頼、査定結果の比較、契約と引渡しの4段階で進みます。平坦な土地の家と違うのは、最初の資料集めで擁壁や崖に関する記録をどこまでそろえられるかが、査定額と売却のスピードに直結する点です。

土地・建物・擁壁に関する資料を集める

最初に、土地・建物・擁壁について手元にある資料と、役所や法務局で取れる資料を集めます。すべてそろわなくても査定は受けられますが、擁壁の記録があるかどうかは価格に大きく響くため、探せるものは探しておきます。

資料入手先確認できること
登記事項証明書(登記簿謄本)法務局所有者、面積、抵当権の有無
公図・地積測量図法務局土地の形、隣地との境界
確定測量図・境界確認書手元(過去に測量していれば)境界の確定状況
建築確認済証・検査済証手元建物が確認・検査を受けたか
擁壁の検査済証・工事の図面手元、または前の所有者・施工会社擁壁が許可・確認を受けて造られたか
宅地造成工事許可申請台帳記載証明書よこはま建築情報センター(1件300円)宅地造成の許可の記録
建築確認申請台帳記載証明書よこはま建築情報センター(1件300円)擁壁・建物の確認番号、検査済証の発行の有無
擁壁の補修・点検の記録、写真手元擁壁の今の状態、過去の手入れ
固定資産税の納税通知書手元評価額、税額
購入時の売買契約書・重要事項説明書手元購入時の擁壁や区域の説明内容

購入時の重要事項説明書には、がけ条例や土砂災害警戒区域についての説明が書かれていることが多く、擁壁の情報の手がかりになります。

崖地に対応した不動産会社へ査定を依頼する

資料がそろったら、崖地や擁壁のある物件の取引実績がある不動産会社に査定を依頼します。崖地の評価には、擁壁の工事費の見込みや再建築の可否を判断する知識が必要で、一般的な住宅を中心に扱う会社では、低い価格や「扱えない」という回答になりがちだからです。

依頼先を選ぶときは、ホームページに崖地・擁壁・傾斜地の買取や売却の事例が載っているか、横浜市内の丘陵地での取引実績があるかを見ます。問い合わせの際に「擁壁の記録がない場合はどう評価するか」「建て替えの可否をどう判断するか」と聞くと、崖地に慣れた会社かどうかがわかります。

査定は、資料だけで出す机上査定と、現地を見て出す訪問査定があります。崖の上の家は、擁壁の状態や道路からの高低差が価格を大きく左右するため、最終的には訪問査定を受けてください。

複数の査定結果と売却条件を比較する

崖の上の家は、会社ごとに工事のノウハウや採算の考え方が違うため、査定額の差が開きやすい物件です。仲介と買取の両方を含め、2〜3社の結果を比べると、妥当な価格の幅がつかめます。

比べるときは、金額だけでなく次の条件もそろえて確認します。

  • 査定額の根拠(擁壁の工事費をいくらと見込んでいるか)
  • 買取か仲介か、仲介なら売り出し価格と想定期間
  • 契約不適合責任を免除するか、免除の範囲
  • 引渡しの時期と、残置物(家具など)を残したまま引き渡せるか
  • 測量や境界確定の費用をどちらが負担するか
  • 契約後に価格を下げる条件(減額条項)があるか

査定額が高くても、契約後の調査で擁壁の問題が見つかったとして減額する条件が付いていれば、最終的な手取りは下がります。高い査定額だけで決めず、条件を含めた手取りで比べてください。

契約内容を確認して売却・引渡しを行う

売却先が決まったら、売買契約を結びます。崖の上の家では、擁壁や崖について知っていることをすべて書面で伝え、契約不適合責任の扱いを契約書に明記することが特に大切です。

契約の前に、不動産会社から買い手へ重要事項の説明が行われます。土砂災害警戒区域やがけ条例に関する内容もここで説明されるため、売主として伝えた情報が正しく反映されているかを確認します。

契約後は、引渡しの日に残りの代金を受け取り、所有権の移転登記を行います。住宅ローンが残っている場合は、この代金で残債を返済して抵当権を抹消します。仲介の場合は引渡しまで数か月かかることもありますが、買取なら契約から引渡しまでの日程を売主の都合に合わせて決めやすくなります。

横浜の崖の上の家を売却するときの注意点

崖の上の家を売るときにトラブルになりやすいのは、擁壁の情報の伝え方、擁壁や境界の所有関係、契約後の責任と費用負担の3つです。どれも契約前に整理しておけば防げます。

擁壁の不具合や過去の災害履歴を隠さない

擁壁のひび割れ、傾き、水抜き穴からの土の流出、過去の小さな崩れや補修の履歴など、知っていることはすべて買い手に伝えます。伝えた内容は「物件状況報告書(告知書)」に書いて、契約書に添付するのが一般的です。

告知が大切なのは、契約不適合責任と深く関わるからです。契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で約束した内容と違っていたときに、売主が修補や代金の減額、損害賠償などに応じる責任です(民法第562条〜第564条)。擁壁の不具合を事前に伝え、買い手がそれを了承して契約していれば、その不具合は「契約の内容どおり」になり、後から責任を問われにくくなります。

反対に、知っていながら隠した不具合は、責任を免除する特約を結んでいても売主の責任が残ります。買取業者に現状のまま売る場合でも同じです。不利になりそうな情報ほど先に伝えたほうが、結果として売主を守ることになります。

隣地との境界や擁壁の所有者を確認する

擁壁が自分の土地にあるのか、隣の土地にあるのか、境界線上にまたがっているのかを確認します。擁壁の所有者は、原則としてその擁壁が建っている土地の所有者で、管理や補修の責任もその所有者が負います。

崖の上の家では、擁壁が崖下の隣地に建っていることがあります。この場合、擁壁の造り直しや補修を決めるのは隣地の所有者で、自分の判断では工事ができません。買い手にとっては、自分の家を支える擁壁の安全を自分で管理できないことになるため、所有関係ははっきりさせておく必要があります。擁壁が境界線上にまたがっている場合は、費用の分担や管理の取り決めがあるかを確かめます。

境界がはっきりしない場合は、土地家屋調査士に測量を依頼し、隣地の所有者の立ち会いのもとで境界を確定させます。確定測量には時間がかかるため、仲介で売るなら早めに着手してください。買取業者に売る場合は、境界が確定していない状態でも買い取ってもらえることがあり、測量の手間を業者側が引き受けてくれることもあります。

契約不適合責任や費用負担を契約前に確認する

契約書では、契約不適合責任を負うかどうか、負う場合はどの範囲で、いつまでかを確認します。個人どうしの売買では、引渡しから3か月など期間を区切る特約を結ぶことが多く、買取業者が買い手の場合は責任をすべて免除する特約を結べることが一般的です。

費用の負担も、契約前に書面で決めておきます。崖の上の家で問題になりやすいのは次の費用です。

  • 確定測量や境界確定の費用
  • 擁壁の調査・補修の費用
  • 古家の解体費用(更地で引き渡す場合)
  • 家具や不用品の処分費用
  • 契約後に擁壁の問題が見つかった場合の減額や解除の条件

特に、契約後の調査で擁壁の不具合が見つかったら価格を下げる、または契約を解除できる、という条件が付いていないかは必ず確認します。この条件があると、契約したのに最終的な手取りが大きく減ったり、売却が白紙に戻ったりするおそれがあります。わからない条項があれば、署名の前に不動産会社に説明を求めてください。

横浜の崖の上の家の売却に関するよくある質問

住宅ローンが残っていても売却できますか?

売却できます。ただし、引渡しのときに住宅ローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する必要があります。売却代金でローンを返し切れる場合は、決済の日に代金から返済して抹消の手続きを同時に行うのが一般的です。

売却代金がローンの残高に届かない場合は、差額を預貯金などで補う必要があります。補えないときは、金融機関の同意を得て抵当権を外してもらう「任意売却」という方法もありますが、売却後も残った債務の返済は続きます。まずはローンの残高を確認し、査定額と比べてください。

相続登記が済んでいなくても売却できますか?

相続した家を売るには、先に相続登記をして、名義を亡くなった人から相続人に移す必要があります。売却による所有権の移転登記は、登記簿上の所有者と買い手が共同で申請するため、亡くなった人の名義のままでは手続きができないからです。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省「相続登記の申請義務化」)。売却の相談と並行して、遺産分割の話し合いと登記の準備を進めると、売却までの時間を短くできます。

売却までにどれくらいの期間がかかりますか?

売却の方法によって大きく変わります。買取業者に売る場合は、査定から契約、引渡しまでを短い期間で進めやすく、日程も売主の都合に合わせて決めやすくなります。

仲介の場合は、買い手が見つかるまでの期間が読めません。崖の上の家は買い手の候補が限られ、住宅ローン審査の結果待ちで時間がかかることもあるため、平坦な土地の家より長くかかる前提で計画してください。売却の期限が決まっている場合は、仲介で売り出す期間をあらかじめ決めておき、売れなければ買取に切り替える方法もあります。

まとめ|横浜の崖の上の家は現状のまま売却できる可能性がある

横浜の崖の上の家は、擁壁の状態や再建築の可否によっては、工事や解体をせずにそのまま売却できます。この記事のポイントを整理します。

  • 売れるかどうかを左右するのは、擁壁の状態と再建築の可否
  • 擁壁の手続きの記録は、よこはま建築情報センターで確認でき、証明書も取れる
  • 再建築の可否は、iマッピーの道路種別とがけ条例の範囲で見当がつく
  • 擁壁工事は、費用と価格の上昇幅を比べてから決める。工事するなら横浜市の助成金を確認する
  • 一般の買い手が見つかりにくければ、崖地に対応した買取業者に現状のまま売る道がある

迷ったら、まずは手元の資料を集めて、崖地や擁壁のある物件の扱いに慣れた買取業者に、現状のままの査定を依頼してみてください。工事をするかどうか、仲介で売り出すかどうかは、その査定額を見てから決めても遅くありません。

※掲載情報が誤っている場合があります。最新情報は各サービスの公式HPにてご確認ください。

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