近頃、美容業界で圧倒的な人気を誇っていた大手脱毛サロンが続々と倒産していて、ショックを受ける利用者が急増しています。
季節の変化に合わせて、脱毛サロンに通い始めようと思っていたのに、返金トラブルに巻き込まれるのが怖くて迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、人気脱毛サロンが経営破綻する理由や倒産時にとるべき対処方法、信頼できる脱毛サロン選びのポイントなどについて解説していきます。
脱毛サロン通いに不安を抱いている方は、ぜひ参考にして下さい。

人気脱毛サロングループが破産に至った大まかな経緯

エターナルラビリンス(倒産年:2017年)
株式会社グロワール・ブリエ東京が運営していたエターナルラビリンスは、人気タレントを積極的に起用するプロモーションで話題の人気脱毛サロングループでした。
一時は約100店舗の全国展開、約28億円もの売上高を計上する盛況ぶりを見せていましたが、サービス内容を誤認させる恐れのある虚偽誇大広告や不当な返金拒否問題が浮上。
消費者庁から9か月間の業務停止命令を受けたのを機に資金繰りが急激に悪化し、2017年3月に破産申告しました。
脱毛ラボ(倒産年:2022年)
株式会社セドナエンタープライズが運営していた脱毛ラボは、予算に合わせて柔軟に組める多彩な脱毛プランが評判の人気脱毛サロングループでした。
一時は約80店舗の全国展開、約75億円もの売上高を計上するほど繁盛していましたが、同社の販売していた脱毛機器の広告が景品表示法違反に抵触していたことを消費者庁が問題視。
コロナ禍の影響により、休業や時短営業を続けなければならない状況下で売上が激減したことも相まって、逼迫する資金繰りをカバーできなくなり、2022年8月に倒産してしまいました。
シースリー(倒産年:2023年)
株式会社ビューティースリーが運営していたC3(シースリー)は、長期的なケアに最適な定額制通い放題コースが話題の人気脱毛サロングループでした。
一時は関東圏を中心に約60店舗展開、20億円以上もの売上高を計上するほど賑わっていましたが、事業拡大に伴い広告宣伝費や人件費などの固定費が増加。
収益率の低い通い放題プランに偏った客層の影響で売上が伸び悩む中、コロナ禍による休業・時短営業の影響も相まって、資金繰りが急速に悪化していきます。
そして2023年9月には自己破産を申請し、脱毛サロン業界で過去3番目の大型倒産事例となってしまいました。
銀座カラー(倒産年:2023年)
株式会社エム・シーネットワークスジャパンが運営していた銀座カラーは、最新鋭の機器を活用したスピーディーな施術に定評のある人気脱毛サロングループでした。
一時は東京の銀座店を中心に約50店舗の全国展開、125億円以上もの売上高を計上する盤石ぶりを見せていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に事業環境が暗転。
各店舗が休業・時短営業に追いやられたことで売上が激減する中、利用者の支払った前金に大きく依存する資金繰りのもろさが露呈していきます。
2021年4月期には11億円以上の最終赤字となり、業績を回復できないまま2023年12月に破産申告しました。
ビー・エスコート(破産申請日:2024年11月25日)
株式会社セピアプロミクスが運営していたBe・Escort(ビー・エスコート)は、リーズナブルで通いやすい料金プランが話題の人気脱毛サロングループでした。
名古屋本店のある東海地方を中心に約40店舗の全国展開、銀座カラーが破綻した際には救済企業として名乗りを上げるほどの経営力を誇っていました。
しかし、地方から全国へ出店を急ぎすぎた結果、固定費の増大で資金繰りが悪化。
コロナ禍の影響で売上も減少し、2024年11月の破産申告に至ってしまいました。
アリシアクリニック(破産申請日:2024年12月10日)
医療法人社団美実会が運営していたアリシアクリニックは、自由診療の医療機器施術による医療脱毛サービスで評判の人気脱毛サロングループでした。
一時は約40店舗の全国展開、160億円以上もの売上高を計上していましたが、事業拡大を急ぐあまり経営環境が激変。
テレビやウェブCMへの過剰な広告宣伝費投資や人材確保のコストが増大し、資金繰りが年々苦しくなっていきます。
そして同グループのじぶんクリニックの分と合わせた負債額が120億円を突破し、2024年12月に破産申告しました。
大手の脱毛サロンまでもが倒産してしまう3つの理由

広告宣伝費の高騰によるコスト増加
脱毛サロンの同業他社は全国各地に存在するため、固定客を確保するにはテレビや雑誌などのメディアを活用した宣伝・集客が必要になります。
しかし、人気のある著名人を起用する際には多額の出演料が発生するため、話題性を重視すれば広告宣伝費は膨らむ一方です。
…にもかかわらず、新規顧客数が伸び悩んでいるのが実情であり、費用対効果の低下が資金繰りをどんどん悪化させていきます。
事業を長く継続させるためには、収入と支出のバランスをとることが不可欠。
出費を抑えるために宣伝活動をやめた結果、知名度の落ちた脱毛サロンを見限った客が離れていく悪循環に陥り、多額の債務を発生させてしまうのです。
過剰な価格競争
比較的、参入しやすい脱毛サロンビジネスは、非常に競争の激しい業界です。
専門の美容サロンだけでなく、医療団体の中にも脱毛サービスを手掛けるところがあり、並居るライバル店との競合に打ち勝って常連客を確保するのは容易ではありません。
集客性を高めるためにはどうしても価格設定を引き下げなければならず、その影響で肝心の事業利益は著しく伸び悩みます。
資金繰りが苦しくなれば従業員への給料すら払えなくなり、経営破綻に至るのは時間の問題です。
経営トラブルによる信用性低下
脱毛サロン業界では、事業拡大を焦るあまり法律に抵触する行為に及んでしまう企業が少なくありません。
医療機関でしか行えない高度な医療脱毛サービスを、民間の美容サロン店が実施すれば、医師法違反に問われて営業停止処分が下ります。
事実に反する虚偽誇大広告や不当な返金拒否対応といった顧客トラブルも少ないわけではなく、SNSが発達している現代ではこうした不祥事が瞬く間に拡散されます。
その結果、その脱毛サロングループの信用性低下が客離れを引き起こし、経営破綻の引き金になってしまうのです。
通っていた脱毛サロンが倒産した場合の対処方法

契約書と支払い方法を確認する
自分の通っていた脱毛サロンが突然営業停止になった際には、まず契約書をチェックしましょう。
日本の特定商取引法には、書面を介して契約を締結した後でも一定期間内なら無条件で中途解約・返金してもらえるクーリングオフという制度があります。
脱毛サロンの場合、契約書を受け取った日を含む8日以内なら、途中解約を拒否する文言が契約文書内に記載されていない限り、クーリングオフの適用が可能です。
また、分割払いの代金をクレジットカード払いにしている場合は、カード会社に連絡すれば支払停止の抗弁権を行使できます。
弁護士(破産管財人)に債権届を提出する
企業が破産すると、その会社が保有していた資産を売却して債権者に配当する手続きが行われます。
その作業を担当する破産管財人(弁護人)の氏名や連絡先は公式ホームページ等に明記されるので、公開されたら必ずチェックして下さい。
破産管財人に債権届を提出すれば配当の対象として認められる可能性が高く、支払った金額の一部を返金してもらえる公算が高いです。
自分一人で行う自信がない方は、最寄りの弁護士といった法律のプロに相談しましょう。
救済プランを提供している脱毛サロンがないか確認する
大手の脱毛サロングループが経営破綻すると、施術を受けられなくなった利用者の支援と新規顧客確保を兼ねて、リーズナブルな「救済プラン」をリリースするサロンが登場します。
入会料金や月額費用を大幅に割り引いてもらえるサービスが付いていることが多く、そのまま通常コースで契約するより非常にお得です。
ただし、救済プランを利用するためには、倒産した脱毛サロンに通っていたことを証明する書類を提出しなければなりません。
通っていた脱毛サロンが営業停止になったからといって、むやみに契約書を破棄しないように気をつけて下さい。
安心して通える脱毛サロンを選ぶ際に意識すべき3つのポイント

都度払いプランの有無を見極める
どれほど知名度の高い脱毛サロングループであっても、ある日いきなり経営破綻に陥る可能性があります。
大金を失うリスクを避けるためにも、初期段階で多額の契約金の一括前払いを強要してくるようなサロンを利用するのはやめましょう。
料金の支払い方法に迷った時は、都度払いプランを強くおすすめします。
施術を受ける際に料金を支払う都度払いコースを選択すれば、万一返金トラブルに巻き込まれても被害額を最小限に抑えられて安全です。
利用者の口コミや評判を確認しておく
脱毛サロンの経営悪化は、利用者の評判にも顕著に表れます。
スタッフが少なくなって予約を取りづらくなった、施術レベルが明らかに落ちた、解約をお願いしたのに返金を断られた、などのネガティブな口コミを見かけるようになったら注意して下さい。
SNSや掲示板サイトなどにアクセスして、気になる脱毛サロンのリアルな評判をこまめに収集しておきましょう。
匿名ユーザーの書き込みが必ずしも正しいとは限りませんが、内情把握の参考情報にはなります。
経営環境をチェックしておく
脱毛サロンの倒産には、必ず前兆現象が観測されます。
売上高の減少と固定費の増大により多額の赤字が発生するようになったら、それは危険信号です。
資金繰りが苦しいにもかかわらず、強引に店舗数を増やそうとするような無謀な戦略を続ける経営陣なら逃げた方が無難です。
なお、各企業は四季報を通じて、自社の業績や財務状況などを定期的に公表しています。
普段、株式取引をしていない方でも、たまには四季報をチェックして運営会社の経営状態をチェックする習慣をつけておくと良いでしょう。
お金に関する知識を身につけて脱毛サロンに賢く通おう

大手美容サービス企業の倒産ニュースを聞く度に脱毛サロンに通うのが怖くなってしまいますが、過度に恐れることはありません。
多額な利用料金の前払いを避け、経営不振の前触れを普段からチェックしていれば、倒産件数が急増している脱毛サロン業界にもしっかり対応できます。
契約に関する法律を最低限意識しつつ、脱毛サロンを楽しく活用しましょう。